いびきとがんの関係を医学的に解説|放置してはいけない理由とは

いびきの治療・治し方
2025.06.16
このコラムの監修医師
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック いびき専門医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック いびき専門医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。

いびきをかく人は「生活習慣病」になるリスクが高まりやすいので注意が必要です。
それでは日本人の死因に多い「がん」についてはどうでしょうか。

この記事では、いびきとがんの関係について解説しています。治療方法も紹介しているのでいびきを早期解決する参考にしてみてください。

いびきが原因でがんになるという訳ではない

手で✕をする男性

結論として、現在いびきが原因でがんにつながるという因果関係が、研究では見つかっていません。「いびきをかいている=がんになる」ということはないので安心してよいでしょう。

ただし、いびきをかいている人は、いびきをかいていない人と比べて体調不良になりやすいことに注意しなければなりません。寝起きに頭痛やめまいが起きることはもちろん、質の高い睡眠をとることができずに、寝不足の状態が続く人もいます。

がんにならないから放っておいてもよい、ということはないので早めにいびきの改善に取り組むことが重要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はがんの発症リスクが高い

いびきとがんには直接的な関係性がないものの、いびきが悪化して起こる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を発症した場合には、がん発症のリスクが高くなりやすいとわかっています。

まず、睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、舌根沈下などで気道がふさがることにより、睡眠中の短時間だけ呼吸が止まってしまう病気です。

西オーストラリア州で実施された調査にて、400名の被験者に呼吸障害指数の測定をおこなったところ、中等症~重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している人の多くが、がん発症率のリスクが増加すると判明しました。なお、当調査は20年間継続してフォローアップを続けたことによって判明した結果です。すでに睡眠時無呼吸症候群(SAS)を患っているという方は、十分に注意しなければなりません。

参考:
Sleep apnea and 20-year follow-up for all-cause mortality, stroke, and cancer incidence and mortality in the Busselton Health Study cohort、National Library of Medicine

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人はいびきを伴うことが多い

いびきとがんには直接的な関係はありません。ただし、がん発症のリスクを高めやすい睡眠時無呼吸症候群(SAS)を患っている人は、いびきをかきやすいことに気を付けなければなりません。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は舌根沈下など、気道がふさがりやすくなる影響で発症する病気であり、同様にいびきも、気道がふさがりやすくなるせいでいびきの音が鳴ります。いびきをかいているからがんになる、とは言い切れませんが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している人はがんになりやすく、その睡眠時無呼吸症候群(SAS)におけるひとつの要素として、いびきをかく人がいるという点に注意してください。

睡眠時無呼吸症候群についてより詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。

いびきとがんの共通点

ポイント

いびきとがんには直接的なつながりはないものの、共通するポイントが複数あることに注意しなければなりません。以下より、いびきとがんの共通点を解説します。

【いびきとがんの共通点1】生活習慣の乱れで発症しやすい

国立がん研究センターより、がんは次のような生活習慣の乱れによって発症しやすくなると説明されています。
 

  • 塩分の摂りすぎ
  • 運動不足
  • 太りすぎ

例えば、塩分量が多く味付けの濃い食事を毎日摂っている人や、デスクワークなどが多く運動不足になっている人、また急激に体重が増えるなどBMIが標準値を超えている人などは、がんになりやすい特徴を複数持っています。

また、いびきも生活習慣の乱れで起きやすくなるのが特徴です。食事はもちろん運動、睡眠などが乱れており、自律神経系に異常が起きている人や、食べすぎなどで肥満体型の人などはいびきをかきやすくなると言われています。

参考:
今後10年にがんに罹るリスクをウェブで自己チェック|国立がん研究センター

【いびきとがんの共通点2】睡眠障害により発症しやすい

いびきとがんは、どちらも睡眠障害をきっかけでリスクが高まると言われています。

中国で実施された調査によると、中国人の睡眠障害率が38%であり、そのうちの多くに免疫力の低下がみられ、がんの罹患率が上昇していることがわかりました。

同じように、いびきも睡眠障害をきっかけにクセづく人がいます。例えば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)で気道がふさがりやすくなる、不眠症により自律神経が乱れてしまうなど、睡眠障害が原因になる場合もあり、がんとの共通点が多いです。

参考:
睡眠科学技術博覧会に「睡眠の神器」が登場|SciencePortal China

【いびきとがんの共通点3】喫煙や飲酒で悪化しやすい

喫煙や飲酒が習慣化している人は、習慣化していない人に比べてがんやいびきを発症しやすくなると言われています。

まずがんについて、喫煙や飲酒をすると、体内に発がん性の物質であるアセトアルデヒドが発生しますが、これを代謝しにくい体質の人は、食道がんリスクが高くなりやすいのが特徴です。続いていびきについても、喫煙や飲酒によっては筋肉の弛緩や気道の炎症などが起きやすくなり、いびきの音が出やすくなると言われています。

参考:
食道がんの原因・症状について|国立がん研究センター

いびきとがんを予防しよう!今すぐできる対策4選

食事をする家族

共通点の多いいびきとがんについて、それぞれの予防をスタートしたい人向けに、今すぐ始められるおすすめの対策を4つ紹介します。

【いびきとがんの予防法1】生活習慣の乱れを改善する

まず重要なのが、生活習慣を見直すことです。日々のルーティンができていないという方は、以下にまとめた情報を参考にしながら、生活習慣の改善に力を入れましょう。
 

  • 食事の塩分量を控える
  • 偏食をなくしてバランスよく食事を摂る
  • 適度に運動をする
  • 平均睡眠時間を確保する(夜更かしをやめる)

生活習慣が整えば、その分だけがんやいびきのリスクを抑えやすくなります。この機会に、自分の身体を労わってみてはいかがでしょうか。

【いびきとがんの予防法2】禁煙や禁酒に取り組む

がんやいびきのリスクを下げたいなら、原因となりやすい喫煙や飲酒を控えることが重要です。

例えば、

「1日のタバコの本数を少しずつ減らしていく」
「飲酒量を減らす」

など、ハードルの低い対策からスタートし、徐々に禁煙や喫煙を目指すとよいでしょう。また、就寝前の喫煙や飲酒はいびきをかく原因になりやすいため、夕食後は喫煙や飲酒をやめるなどのルールを決めてみてはいかがでしょうか。

どうしてもお酒がやめられないお酒好きの人は、下記記事のいびき対策に取り組んでみてください。

【いびきとがんの予防法3】適度にストレスを発散する

嫌なこと、辛いことがあるときに抱えてしまう「ストレス」を発散すれば、免疫力が高まり、がんやいびきを予防しやすくなります。

例えば、

「趣味に没頭する」
「時間を見つけて外出する」
「定期的に気分転換を取り入れる」

など、自分に合う方法でストレスを発散しましょう。ストレスを溜めこみ続けると、免疫力の低下によってがんやいびきのリスクが高まるほか、抑うつ症状など精神的なトラブルも起きやすくなるので、適度に発散することを意識してください。

【いびきとがんの予防法4】定期検診を受ける

いびきやがんを予防したいなら、定期検診を受けて、現在の自分にどのような問題があるのかをチェックするのがおすすめです。

例えば、会社で実施されている健康診断を受診することはもちろん、個人で検診を受けてみるのもよいでしょう。病院によっては細かい健康状態を数値として評価してくれる場所もあるので、自宅近くの病院を受診してみてください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症者はクリニックでいびき治療を始めよう

白衣の男性医師

がんを発症するひとつの要因である「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」に悩んでいるという方は、なるべく早めに改善することをおすすめします。以下より、クリニックで利用できるいびき治療の種類をまとめました。

【クリニックのいびき治療1】セルフケアの参考となる改善アドバイス

睡眠時無呼吸症候群(SAS)まではいかずとも、日常的にいびきをかいているという人は、専門医から生活習慣の改善方法についてアドバイスを受けるのがおすすめです。相談者の生活状況や悩みをもとに、プロの視点から最適な改善方法をアドバイスしてもらえます。

【クリニックのいびき治療2】歯並びによるいびきを解決できるマウスピース療法

歯並びが悪いせいで口呼吸が習慣化し、いびきをかいているという人は、マウスピース療法を受けるのがおすすめです。相談者の歯形に合うマウスピースを製作してもらえるほか、経過観察により改善が進んでいるのかをチェックしてもらえます。

【クリニックのいびき治療3】アレルギーによるいびきを解決する薬物療法

鼻炎などのアレルギーが原因でいびきをかいている人は、薬物療法をスタートするのがよいでしょう。治療薬などを処方してもらうことによって、呼吸器系に起こるトラブルを解決し、いびきをかきにくくできます。

【クリニックのいびき治療4】睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対症療法であるCPAP(シーパップ)療法

すでに睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しており、睡眠中の息苦しさなどを感じている人は、CPAP(シーパップ)療法を受けられます。睡眠中の呼吸をサポートしてくれる専用の機器をレンタルし、自宅で装着したまま眠ることにより、自然な呼吸へと改善しやすくなるのが治療の特徴です。

【クリニックのいびき治療5】いびきの根本治療であるいびきレーザー治療

前述した対症療法とは別に、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の根本治療(症状の原因を絶つ治療)を始めたい人は、いびきレーザー治療を受けることをおすすめします。

いびきレーザー治療は、気道がふさがる原因となる粘膜の一部を切除することで、気道がふさがっていびきの音が出る、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症するという問題を解決できる治療です。一般的にはレーザーを使って粘膜の一部を切除しますが、近年では痛みが伴わないパルスサーミアといった安全な治療法も登場しています。

<いびきメディカルクリニックのオリジナルいびきレーザー治療「パルスサーミア」とは>

がんといびきには共通点あり!いびきの悩みを抱えている方は、いびきメディカルクリニックへ

いびきとがんに因果関係はありませんが、2つの要素にはそれぞれ共通点があることに注意しなければなりません。生活習慣などの影響を受けやすいことから、すでに生活習慣が乱れている、睡眠障害を患っているという方は、早めの対策を心がけましょう。

もしいびき対策、睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策をスタートしたいなら、いびきメディカルクリニックにご相談ください。診察内容をもとに、最適な解決策を提案します。

FAQ

よくある質問

いびきをかく人ほどがんになりやすいって本当?

食道がんにいびきは関係している?

食道がんになる原因に、いびきは関係していません。ただし、いびきをかく原因である「飲酒」「喫煙」などをしている人ほど、食道がんになるリスクが高いと言われています。食道がんといびきに具体的なつながりはありませんが、共通点があることに注意してください。

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