睡眠中も鼻呼吸を意識!口呼吸によるトラブルと鼻呼吸に治す方法を解説
目次
みなさんは普段、鼻呼吸をしていますか?それとも口呼吸をしていますか?
人間の呼吸には、鼻から空気を取り入れる「鼻呼吸」と、口から吸い込む「口呼吸」の2種類がありますが、日常的に空気を吸ったり吐いたりするうえで正しいのは鼻呼吸だと言われています。
ですが、現代人の多くは日常的に口呼吸をしており、それによりさまざまなトラブルが起きています。どうして、本来の呼吸である鼻呼吸ができなくなっているのでしょうか?
この記事では、鼻呼吸の重要性について解説したのち、口呼吸が習慣化してしまう原因について解説していきます。あわせて、鼻呼吸に戻す方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
鼻呼吸と口呼吸、どちらが正解?
人間の呼吸には、鼻呼吸と口呼吸がありますが、どちらで呼吸をするのが正しいのでしょうか?
人間はもともと「鼻呼吸」
現在の研究によると、人間の基本の呼吸法は「鼻呼吸」だとされています。
本来、人間をはじめとした哺乳動物にとって、口はあくまで食べ物を食べるための器官で、呼吸には基本的に使われていません。
ですが、人間は進化の過程で言語を獲得し、言葉を発するようになったため、口でも呼吸ができるようになったと言われています。その証拠に、生まれたばかりの赤ちゃんは口呼吸をしておらず、言葉を発するようになってはじめて口呼吸を行うようになるとされています。
鼻呼吸をするメリット
では、なぜ人間は口ではなく、鼻で呼吸をするのでしょうか?それは、鼻呼吸が非常に優れた機能を持つ呼吸法だからです。
異物の侵入を防ぐ防御システム
まずは、外部からの異物の防御です。
鼻の入口にある鼻毛は天然のフィルターと言われており、外から侵入しようとする花粉やホコリなどをブロックしてくれるほか、鼻腔粘膜では線毛の上皮細胞と粘液(鼻水など)の分泌によってウイルスや細菌などのさらに小さな異物を絡め取ってくれます。
温度・湿度調節機能
また、鼻から入ってきた空気は、鼻腔の中を通過する際に適切な温度と湿度に調整されるので、肺の負担を軽減しながらスムーズに体内を循環していきます。
しかも、こうした働きによって鼻から入る空気は、口から入る空気よりも感染症にかかるリスクが少ないと言われています。
このように、鼻呼吸は温度・湿度調節機能だけでなく、空気清浄機能も兼ね備えたスーパー呼吸法と言っても過言ではありません。
口呼吸はデメリットだらけ
こうしたメリットが多い鼻呼吸に対し、口呼吸をするとさまざまなトラブルが発生します。
口呼吸で引き起こされるトラブル
まず、口から入ってくる空気は冷たく乾いているため、体内に入ったときの肺の負担が大きくなります。
しかも、鼻呼吸であれば鼻毛などの防御機能が外敵の侵入をブロックしてくれますが、口呼吸にはそのような防御機能がありません。そのため、ホコリや花粉、細菌、ウイルスが侵入し放題になってしまいます。
さらに、こうした生活を続けていると風邪などにかかりやすくなるだけでなく、さまざまな呼吸器系疾患やアレルギー性疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、精神性疾患などにかかるリスクも高まると指摘されています。
加えて、口呼吸は虫歯や口臭、歯並びの悪化の原因になるばかりか、いびきや睡眠時無呼吸症候群を起こしやすくなり、睡眠の質を低下させることにもつながります。
睡眠時無呼吸症候群については次の記事でも詳しく解説しています。
参考:
鼻呼吸はなぜ重要?口呼吸によって起きる4つのトラブル
寝ているときも口を閉じよう~鼻呼吸のススメ~
顔つきまで変わってしまう!?口呼吸のデメリットと鼻呼吸のメリット
日常的に口呼吸をしてしまう原因とは?
このように、口呼吸はデメリットが多いにもかかわらず、私たち現代人は鼻呼吸よりも口呼吸が定着してしまっています。どうして、鼻呼吸よりも口呼吸をしてしまうのでしょうか?
原因は、次の5つが考えられます。
・顔面の骨格の形状や歯並びが影響している
・慢性的なアレルギー性鼻炎
・口周りの筋肉の衰え
・姿勢が悪い
・マスク生活の影響
顔面の骨格の形状や歯並びが影響している
口呼吸の多くは、顔面の骨格の形状や歯並びが影響しているとされています。
例えば、正常な歯列は真上から見るとU字型のカーブを描いていますが、まれに生まれつきV字型の人がおり、空気が通りづらいために口呼吸になりやすくなります。
他にも、上顎前突(いわゆる出っ歯)の場合は唇が閉まりにくくなるため、口呼吸になりやすいです。
参考:
寝ているときも口を閉じよう~鼻呼吸のススメ~
乾燥する季節 口呼吸への注意と対策
慢性的なアレルギー性鼻炎
慢性的なアレルギー性鼻炎も、口呼吸を助長する原因のひとつです。
アレルギー性鼻炎とは、ある特定のアレルギー物質を吸入することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりを引き起こす症状です。主な原因物質は、ダニ、ホコリ、ペットの毛・フケ、スギ・ヒノキなどの花粉がありますが、こうした症状が慢性化することで鼻呼吸が妨げられ、口呼吸の習慣化が起こります。
また、鼻炎の他に扁桃肥大や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、鼻中隔湾曲症なども鼻づまりを引き起こす原因になります。
口周りの筋肉の衰え
口周りの筋肉の衰えも、口呼吸を起こす原因です。特に、口輪筋などの筋力が低下すると、口呼吸になりやすいと言われています。
どうして口輪筋の筋力低下が発生するのかというと、近年の生活スタイルの変化によって口をあまり動かさなくなったことが影響しているとされています。
例えば、最近はメールやチャットの発達によって、会話をしなくても相手とコミュニケーションを取れるようになったり、口遊び(口笛を吹くなど)をする機会が減ったりなどがあげられます。
また、柔らかくて歯ごたえのない食事が増えたことも、口輪筋の筋力低下やそれに伴う口呼吸の増加の原因だと言われています。
姿勢が悪い
姿勢の悪化も、口呼吸の増加に影響を及ぼしています。その大きな原因が、スマートフォンです。
スマートフォンを使うとき、多くの人は自然と頭が前に倒れ、うつむき気味な姿勢をとります。こうした猫背気味の悪い姿勢は、口元の緩みにつながり、無意識に口が開いて口呼吸になってしまうのです。
参考:
寝ているときも口を閉じよう~鼻呼吸のススメ~
顔つきまで変わってしまう!?口呼吸のデメリットと鼻呼吸のメリット
マスク生活の影響
口呼吸の定着にさらなる拍車をかけているのが、マスク生活による影響です。
世界的な感染症の大流行により、現代人は外出時にマスクをする機会がとても多くなりました。ですが、その影響で息苦しさを感じ、口呼吸になる場面が増えています。
また、マスクを長時間していると口呼吸をしていることを意識するのが難しくなるので、余計に口呼吸が習慣になってしまうとも言われています。
口呼吸から鼻呼吸への治し方は?
ここまで、鼻呼吸をすることのメリットと口呼吸による体への影響について見てきましたが、一度定着してしまった口呼吸を鼻呼吸へ戻す方法はあるのでしょうか?
ここからは、口呼吸から鼻呼吸への治し方について解説していきます。
・鼻呼吸を意識する
・あいうべ体操をする
・口閉じテープを活用する
・口呼吸がなかなか治らないときは病院へ
鼻呼吸を意識する
まずは、鼻呼吸を意識的に行おうとすることです。
解説したように、口呼吸は細菌やウイルス感染に無防備なだけでなく、適切な温度・湿度が行われないことによって体への負担がとても大きくなる呼吸法です。
ですので、ここまでの内容をしっかり理解して、口呼吸をしていると思ったら鼻呼吸をするように意識してみるところから始めると良いでしょう。
また、長時間のスマホやパソコン操作による姿勢の悪さも口呼吸のしやすさにつながるため、こまめに休憩をとり、姿勢を正すのも有効な方法と言えます
あいうべ体操をする
それでも口呼吸にすぐ戻ってしまうという人は、口輪筋を鍛えて口呼吸を防ぎましょう。
おすすめなのが、「あいうべ体操」と呼ばれるトレーニング法です。
「あいうべ体操」とは、「あ〜、い〜、う〜、べ〜」と口や舌を大きく動かすことで口輪筋を鍛え、無意識に口がポカンと開いてしまうのを防ぐ方法です。
具体的な方法は次の通りです。
1.「あー」と言いながら口を大きく開ける
まず、「あー」と声を発するように、口を大きく開く。普段よりも大きく開くようなイメージで行うと良い。このとき、声を出さなくても良い。
2.「いー」と言いながら口を大きく横に広げる
次に、首に筋が張るくらいの強さで、口を横に広げる。口周りから首にかけての筋肉を強化するようなイメージで。
3.「うー」と言いながら口を前方に強く突き出す
今度は、口をすぼめて、しっかり前に突き出す。
4.「べー」と言いながら舌を突き出し下に伸ばす
最後に、あごの先を舐めるようなイメージで、舌をできるだけ下まで伸ばす。
1から4の動作をそれぞれ1秒ずつ行うのを1セットとし、1日30セット行いましょう。もしくは、1回10セットを1日3回に分けて行っても大丈夫です。
また、この「あいうべ体操」はいびき予防にも効果が期待できるため、積極的に行うのを推奨します。下記の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
口閉じテープを活用する
「あいうべ体操」とあわせて行うと有効な方法が、睡眠中の口閉じテープの活用です。
睡眠中は、起きているときとは違い筋緊張が解け、無意識に口呼吸になってしまうことが多くなります。
ですが、口閉じテープを口に貼って寝ることで、口呼吸を予防し、鼻呼吸を促すことにつながります。また、口閉じテープを使って口呼吸を防ぐことで、いびきを防止し、睡眠の質を高める効果も期待できます。
口閉じテープはドラッグストアで簡単に購入できるので、気になる方はぜひ試してみてください。
口呼吸がなかなか治らないときは病院へ
上記で紹介した方法を行ってもなかなか口呼吸が治らないときは、病院に相談するようにしましょう。
前述したように、慢性的な口呼吸には深刻なアレルギー性鼻炎や扁桃肥大、鼻中隔湾曲症などの鼻疾患が隠れている場合があります。また、歯並びやあごの骨格も口呼吸のしやすさにつながっていることも多いです。
しかも、こうした疾患は改善するのに時間がかかる場合もあるため、なるべく早い治療が必要になります。「口呼吸程度で病院に行くなんて…」と思わず、ぜひこの機会にお近くの医療機関を受診してみてください。
いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善はいびきメディカルクリニックへ
ここまで、鼻呼吸と口呼吸について解説してきましたが、口呼吸に加え、いびきの症状に悩んでいる方は、いびきメディカルクリニックでの治療がおすすめです。
いびきメディカルクリニックは、いびき・無呼吸治療を専門に行う専門医院で、これまで多くの患者様に治療を行ってきました。当院で行っている「パルスサーミア治療」は、いびき・無呼吸改善の最新治療で、これまで難しいとされていたいびきの根本改善が期待できる画期的な治療法です。
詳しく話を聞きたいという方は、ぜひ当院の無料カウンセリングにお越しください。専門のスタッフが、施術やお客様が不安に思われることについて丁寧に解説いたします。下記に設置している予約フォームからのご予約が便利です。
参考:
いびきの治療法
まとめ
今回は、鼻呼吸と口呼吸について解説しました。
本来、人間は鼻呼吸を行うのが基本ですが、慢性的な鼻炎症状や、口を使う機会の減少に伴って、無意識に口呼吸をするようになってしまいました。
しかし、口呼吸は鼻呼吸と比べて細菌・ウイルス感染を起こしやすく、体への負担が大きいため、なるべく早い鼻呼吸への転換が必要になります。
そのためには、口輪筋を鍛えるトレーニングや口閉じテープの活用が有効ですが、それでも効果がない場合は医療機関に相談し、治療を受けることが大切です。
「気をつけてはいるけれど、つい口呼吸をしてしまう」という人は、ぜひこの記事を参考にして鼻呼吸に治す方法を試してみてください。
【よくある質問】
Q.鼻呼吸と口呼吸では、どちらをするのが正しいのですか?
A.人間を含めた哺乳動物は、鼻を使って呼吸をするのが基本で、口はあくまで食べ物を食べるための器官とされています。ですが、人間は進化の過程で言語を習得したことによって、口でも呼吸ができるようになったと考えられています。
Q.口呼吸を鼻呼吸に治すにはどうしたら良いですか?
A.基本は、鼻呼吸を意識的に行うことが大切ですが、無意識に口呼吸をしてしまうという人は「あいうべ体操」をして口輪筋を鍛えたり、睡眠中に口閉じテープを使用することで、寝ている間の口呼吸を防いだりするのが効果的でしょう。