なぜ1~2時間おきに目が覚めてしまう?原因や睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関係性
目次
「最近、1〜2時間おきに目が覚めてしまう…」
このような症状でお悩みの方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気が原因かもしれません。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に大きないびきをかくのが特徴の疾患で、発症すると1〜2時間おきに無呼吸症状のせいで目が覚めたり、日中の強い眠気を感じたりするようになります。
本コラムでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と不眠症状との関係性について解説したのち、睡眠時無呼吸症候群(SAS)以外に考えられる疾患や1〜2時間おきに目が覚めるのを防ぐための対策をご紹介します。夜中の不眠症状で悩む方は、ぜひ参考にしてください。
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒は睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因の可能性がある
毎晩1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒の症状に悩む方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している可能性が高いです。まずは、中途覚醒・レム睡眠・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係性について解説していきます。
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒はレム睡眠と関連している?
近年の研究により、1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒の症状には、レム睡眠が関係している可能性が高いとされています。
実際に中途覚醒を訴える患者の睡眠脳波を調べてみると、大体1時間半おきに覚醒を何度か繰り返していることがわかり、よく見るとそれは浅い睡眠、すなわちレム睡眠のタイミングと重なっていることがわかったのです。
しかも、ほぼ同じタイミングで血中酸素の低下も見られることから、レム睡眠時に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状である無呼吸(一時的に呼吸が止まる)を発症していることも判明しました。
それでは、なぜレム睡眠時は無呼吸に陥りやすいのでしょうか?
それには、レム睡眠が持つ全身の骨格筋が弛緩するという性質が大いに影響しており、緩んだ舌や喉の粘膜が気道を塞いでしまうことで、無呼吸が生じやすくなるからと考えられています。そして、レム睡眠は通常1〜2時間ごとに現れます。
つまり、毎晩一定時間で目が覚めてしまう場合は、1〜2時間ごとに現れるレム睡眠時に全身の筋肉が弛緩することで気道が狭くなり、それによって生じた無呼吸が睡眠を妨げることで目を覚ましている可能性が高いと言えるのです。
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒以外の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は?
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒以外にも、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状には大きな特徴があります。それは、いびきです。
無呼吸状態に陥ると、全身の筋肉の緩みによって狭くなった気道中を無理やり空気が通るため、喉の粘膜がふるえて大きな音を発します。これが、「ガー」や「ゴォー」といったいびきとなるのです。
他にも、日中の耐え難い眠気や居眠り、ひどい寝汗・寝相、肥満の悪化などがあげられます。
下記のコラムでは、いびき・無呼吸を発症しやすい人の特徴をまとめています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は早急な治療が必要
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症したら早急な治療が必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、慢性的な不眠状態に陥ることに加え、血圧の上昇を引き起こし、そこから動脈硬化や糖尿病、脳卒中、心筋梗塞など、最悪の場合命を落とす危険な合併症を招くことで知られています。
また、無呼吸患者が発症に気づかず車の運転をしたことにより、交通事故や労働災害を引き起こしてしまう事例も多数報告されています。
したがって、無呼吸に気づいたら絶対に放置してはいけません。速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒の睡眠時無呼吸症候群(SAS)以外の原因は?
上記のように、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒を引き起こす可能性がありますが、他にもさまざまな原因が考えられます。
生活習慣による影響
まずは、生活習慣による影響です。
過度なストレス
一般的に、人間は眠ろうとするときには体をリラックスさせる副交感神経が優位になりますが、過度なストレスを受け続けると、体をアクティブに動かす交感神経ばかりが優位になります。
その結果、脳が緊張状態に陥り、寝ついても些細な物音ですぐに目が覚めて中途覚醒を引き起こすようになるのです。
不規則な生活リズム
睡眠は毎日決められた時間に行えば安定して良い習慣を維持できますが、生活が不規則になると体内時計が乱れ、中途覚醒を引き起こすようになります。
特に、近年はスマホなどの普及によって、夜中でもスマホが発するブルーライトによって脳の覚醒が促されている状態です。これにより、就寝時間になってもなかなか眠れないばかりか、睡眠の質が低下することで、1〜2時間おきに目が覚める状態に陥るようになります。
アルコールの摂取
夜寝る前にお酒を飲むとよく眠れると言われます。確かに、アルコールには催眠作用があるため、お酒を飲んだ日はスムーズに眠りにつけたという経験がある人は多いでしょう。
しかし、それと同時にアルコールが持つ利尿作用と脱水作用によって眠りが妨げられ、ほぼ確実に夜中や早朝に目を覚ますことにつながります。
参考:
健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)|厚生労働省
更年期障害
更年期障害とは、女性の更年期(閉経前後5年の期間)に現れる症状のことで、卵巣の機能低下によってホルモンバランスが乱れ、さまざまな心身の不調が現れるようになります。
そして、中途覚醒もその症状に含まれ、夜間におけるほてりや発汗といった血管運動神経症状の出現や心理的ストレスなどが原因で、1〜2時間おきに目が覚めるようになるとされています。
睡眠障害の可能性
次のような睡眠障害も、1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒を引き起こす要因となります。
不眠症
不眠症とは、睡眠が十分に取れないことによって日中の眠気や集中力の低下、慢性疲労などを起こす疾患です。原因もストレスや環境の変化など人によってさまざまで、複数の原因が影響しているパターンも少なくありません。
参考:
不眠症|e-ヘルスネット
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)は、就寝中に足がむずむずするなどの不快感を感じることで睡眠が妨げられる疾患で、睡眠障害の「睡眠関連運動障害群」に該当します。
参考:
レストレスレッグス症候群 / むずむず脚症候群|e-ヘルスネット
周期性四肢運動障害
周期性四肢運動障害は、睡眠中に四肢(主に下肢)の筋肉が勝手に収縮や弛緩を繰り返すことで睡眠が妨げられ、中途覚醒を起こす疾患です。
しかし、本人には両足が動いている自覚はなく、疾患の発見が遅れがちなのが特徴です。
参考:
睡眠関連運動障害|国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部
夜間頻尿
夜間頻尿とは、排尿のために1回以上夜間に起きる症状のことで、年齢を重ねると夜間頻尿になる人が増える傾向にあります。
そして、症状が悪化すると中途覚醒に加え、うつ病や骨折、認知症発症のリスク増加など、日常生活に大きな影響を与える危険性が指摘されています。
精神疾患の可能性
中途覚醒の裏に精神疾患が隠れている場合もあります。
例えば、うつ病は憂鬱な気分が続く気分低下や、何をするにも億劫になるなどの意欲低下が発生する精神疾患で、中途覚醒などの不眠症状や倦怠感などの身体症状も現れます。
他にも、中途覚醒や長期的な気分の落ち込みを感じる精神疾患はさまざまあるので、いつまでも症状が改善しない場合は、一人で悩まず、精神科や心療内科を受診すると良いでしょう。
うるおいクリニックには、国家資格である公認心理士や、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士の資格を持つ専門カウンセラーが在籍しており、人にはなかなか言えない身体的・精神的な不調を相談することが可能です。
1〜2時間おきに目が覚めるのを防ぐ方法
このように、1〜2時間おきに目が覚める原因には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)をはじめさまざまなものがありますが、ここからは夜中に目が覚めるのを防ぐためにできることについて解説していきます。
昼寝は控える
適度な昼寝は日中の活動効率を上げる効果がありますが、昼寝のし過ぎは逆に夜の眠気を遠ざけ、中途覚醒につながる恐れがあります。
昼寝は20〜30分程度で済ませ、夕方以降は行わないのが理想的です。
寝る前の食事は控える
寝る直前に食事をすると、入眠後も体内では消化活動が行われることにより、睡眠が妨げられ、夜中の中途覚醒を引き起こします。
夜ご飯は寝る2〜3時間前までには済ませましょう。
寝る前の飲酒は控える
睡眠薬の代わりに就寝前に飲酒をする人は多いでしょう。しかし、寝る前のアルコールは排尿と脱水症状を引き起こし、ほぼ確実に夜中の中途覚醒につながります。
睡眠薬としての寝酒を習慣的に行っている方は、今すぐに改めましょう。
寝る前にカフェインを摂取しない
カフェインには覚醒作用があるため、夜寝る前に摂取すると眠れなくなり、睡眠の質も低下するため夜中に目覚めやすくなります。
しかも、人によってはカフェインの分解に時間がかかり、かなり時間を空けていてもカフェインの効果が持続する場合があります。
ゆえに、体質的にカフェインの覚醒作用を受けやすい方は、夜だけでなく夕方前から摂取を控えるのをおすすめします。
寝る前の喫煙を控える
タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があるため、カフェイン同様就寝前は控えるのがベストです。
しかも、習慣的に喫煙をしている人は喫煙していない人に比べて睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症率が高くなることが確認されています。
朝までぐっすり眠りたい方は、禁煙をするようにしましょう。
寝る前にスマホを操作しない
スマホが発するブルーライトには覚醒を促す作用があり、また寝る前にスマホを操作することで目が冴えてしまうことから、就寝前はスマホの操作は控えるのが理想的です。
なるべく寝室にはスマホを持ち込まず、脳をリラックスさせるよう努めましょう。
寝室の環境を睡眠に適したものに整える
窓からの明かりが眩しい、外で騒音がするといった環境の影響も、眠りを浅くさせ、中途覚醒を引き起こす要因になります。同様に、部屋が暑過ぎたり、寒過ぎたりしても、良い睡眠は取れません。
寝室の環境は自身が最も眠りやすいものにし、眠りを妨げるものは極力排除するようにしましょう。
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒でお悩みの方は専門家(いびきメディカルクリニック)に相談を!
今回は、1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒について解説してきましたが、症状でお悩みの方は速やかに専門家に相談しましょう。
いびきメディカルクリニックは、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の根本治療を行う専門外来で、当クリニックで採用している「パルスサーミア療法」は、これまでたくさんの患者様がその効果を実感している人気の治療法です。
無料カウンセリングも実施しているので、受診を検討している方は本コラムの最後にある予約フォームからご予約をよろしくお願いいたします。
よくある質問
1〜2時間おきに目が覚める中途覚醒の他に、大きないびきや日中の激しい眠気、居眠りなどの症状が見られます。