【医師監修】寝る前にするといいこと・やってはいけないこと

何度も寝返りを打ったり、ベッドに入ってもなかなか眠れなかったり……「寝たいのに眠れない」夜が続いていませんか?
日中のパフォーマンスが落ちたり、朝起きても疲れが取れていなかったりするのは、睡眠の質が低下しているサインかもしれません。
「とにかく寝不足がつらいけれど、どう改善すればいいのかわからない」
そんな悩みを抱える方に向けて、本記事では睡眠の質を上げる方法として、寝る前にするといいこと・やってはいけないことを医師監修のもとでわかりやすく解説します。
【事前準備】まずは環境を整えることが重要

自宅で睡眠の質を上げる方法を試す前に準備しておきたいのが、環境を整えることです。
準備をおろそかにすると、対策を始めても思うような効果を得られない場合があります。2項目を意識するだけで効果が出やすくなるので、今の環境を見直してみてください。
同じ時間に同じ行動をする
睡眠の質を上げるためには、生活リズムを整えることが欠かせません。例えば、毎日朝食をとる、寝る時間を同じにするなど、リズムが整っていなければ睡眠の質を高めにくいと覚えておきましょう。
「食事をとる日もあれば、とらない日もある」
「毎日眠る時間がバラバラ」
という方は、一度今の生活を見直すことからスタートしてください。
ストレスの原因を絶つ
睡眠に大きく影響するのが、身体にかかるストレスです。人間の身体はストレスの影響を受けやすく、イライラや不安などが積み重なると、考えごとをして眠れなくなるケースも少なくありません。
とくに人間関係にストレスを感じる人が多いため、ストレスを感じる原因から距離を置くのがよいでしょう。なお、ストレスを解消する対策は、後述する寝る前にするといいことでも解説しています。ぜひ参考にしてください。
参考:
不眠症|e-ヘルスネット(厚生労働省)
精神的ストレス等の状況|厚生労働省
寝る前にするといいこと5選!

睡眠の質を上げる方法として、寝る前にするといいことを5つ紹介します。自分の生活に組み込みやすいもの、無理なく取り組めそうなものにチャレンジしてみてください。
【寝る前にするといいこと1】ゆっくりと入浴をする
身体を温める入浴には、睡眠の質を高める効果やリラックスする効果、さらには身体を温めることで入眠を誘う効果があります。
日本大学の研究によると、眠る0.5~6時間前の温浴をすることで、ノンレム睡眠の時間が増加するなど、入眠や睡眠維持への改善効果が確認されました。適切な入浴時間は眠る2時間前、お風呂の温度は41℃程度が望ましいと言われているので、普段から入浴をしない人はタイミングを合わせて入浴の習慣をつくってみてください。
参考:
入浴と睡眠の関連に関するシステマティックレビュー|厚生労働省
【寝る前にするといいこと2】ストレッチやマッサージをする
ストレッチやマッサージといった低運動を習慣化すると、体が温まることで、足がむずむずして寝付きにくくなる「むずむず脚症候群」といった症状を抑えやすくなると言われています。
またストレッチやマッサージは凝り固まった体をほぐすことで、ストレス解消の効果を期待できるでしょう。普段から運動不足の人や肩や首、腰などがこっているという方は、ストレッチやマッサージを習慣化してください。
なお、ストレッチの方法を知りたい方は以下の記事がおすすめです。
【寝る前にするといいこと3】身体を締め付けないパジャマに着替える
リラックスした環境を整えて睡眠の質を上げたいなら、寝る前に身体を締め付けないパジャマに着替えるのがおすすめです。なかには普段着で眠っている人もいますが、首や身体が締め付けられるせいでストレスを感じ次のような理由で眠りにくくなります。
- 息苦しさを感じる
- 身体が締め付けられて動きづらい
ささいなことだと感じてしまいますが、寝付きにくさの原因のひとつです。上記の内容に悩まされている方は、首元がゆったりとしていて、リラックスできるパジャマを着用してみましょう。
【寝る前にするといいこと4】照明の光度を下げる
寝る前は、なるべく部屋の照明を下げて過ごすことをおすすめします。
光度が高い部屋で過ごしていると、眠気を促進するメラトニンという成分が分泌されにくくなり、眠気を感じにくくなるのが特徴です。自然な眠気を感じるためにも、夜の時間帯だけ光度を下げたり、タイマー設定などをして徐々に部屋の光度が下がるように調整したりと、眠りやすい環境づくりに力を入れましょう。
例えばペンダントライトや、間接照明だけで過ごすのも良いかもしれません。
【寝る前にするといいこと5】室温・湿度を快適に保つ
寝る前にするといいことのひとつとして挙げられるのが、室温・湿度の調整です。
季節によって変化する室温・湿度を快適に維持できれば「暑くて眠れない」「湿気で身体が気持ち悪い」といった問題を解決できるでしょう。なお、環境省では室温を夏季28℃、冬季20℃とすることが推奨されています。温湿度計を用意して、適切な温度・湿度を維持してみてはいかがでしょうか。
寝る前にやってはいけないこと5選!

睡眠の質を上げるためにできる方法はいくつもありますが、逆に寝る前にやってはいけないことも少なくありません。5種類のNGポイントをまとめているので、今までやっていたことがないか確認してみてください。
【寝る前にやってはいけないこと1】眠るギリギリまでスマートフォンを使う
寝る前のギリギリまでスマートフォンを利用している人は、自律神経が乱れて睡眠トラブルを起こしやすいと言われています。デジタルディスプレイの光度で目が冴えるほか、寝るギリギリまで目を酷使するせいで、眠りにくい身体へと変わってしまうのが特徴です。
近年ではスマホ依存の人も増えているので、この機会にデジタルデトックスをスタートしてはいかがでしょうか。
参考:
大学生における就寝前の電子機器使用制限が起床時睡眠感および自律神経系活動に及ぼす影響|内田 英二、木本 理可、塚本 未来、神林 勲
【寝る前にやってはいけないこと2】寝る前に食事を摂る
夜遅くに食事をとる人などは、生活リズムが乱れてしまう影響で、睡眠の質が下がりやすいと言われています。
胃の内容物が残ったまま眠ると、うまく消化されずに胃もたれになるかもしれません。結果として、体調不良で質の高い睡眠をとれなくなるため、寝る前の食事はやってはいけないこととして覚えておきましょう。どうしても食事が夜遅くなる場合には、低脂肪で消化の良いものを食べることをおすすめします。
なお、日常的な食事で睡眠の質を上げたい方は、以下の記事がおすすめです。
参考:
みんなの食育|農林水産省
【寝る前にやってはいけないこと3】アルコール・カフェインを摂取する
寝る前におけるアルコールやカフェインの摂取は、やってはいけないことの代表例です。
アルコールを摂取すると眠りやすくなると聞いたことがある人もいると思いますが、実際には眠れたとしても睡眠の質が下がってしまいます。またカフェインには覚醒作用があるため、眠りにくい状態に変わってしまうのが注意点です。
アルコールやカフェインの作用は、3~4時間程度続く場合があるので、寝る前に飲むのを控えるか、この機会にアルコール・カフェイン断ちを始めてみてはいかがでしょうか。
またお酒をよく飲む人は、いびきをかきやすくなると言われています。以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
【寝る前にやってはいけないこと4】激しい運動をする
健康を考えて普段から運動をしている人のなかには、寝る前ギリギリに運動をしている人も多いでしょう。しかし、寝る前の激しい運動はやってはいけないことのひとつです。
人間の身体は運動をしているときに覚醒作用が働くほか、体温を上昇させてしまうといった問題を引き起こします。もちろん、寝る前でなければ問題ありませんが、寝る前に筋トレをしてから眠るという人、ジョギングをして倒れ込むようにベッドに入るという人は、睡眠の質が下がってしまうことに気を付けましょう。
また、睡眠の質を下げるいびき改善のために運動を始めたい方は、以下の記事がおすすめです。寝る前以外に実践してみてください。
【寝る前にやってはいけないこと5】部屋を明るくしたまま眠る
部屋を明るくしたまま眠るのが習慣化している人は、明るさのせいで睡眠の質が下がってしまうことに気を付けましょう。なぜなら、眠気を誘う効果のあるメラトニンが分泌されにくくなるためです。
最初は問題がなくても、同じ生活を続けると、あとから寝付きにくい、眠れないといった問題に悩まされやすくなります。電気代もかかってしまうため、この機会に電気を消して眠るか、タイマー機能のある照明に買い替えてみてはいかがでしょうか。
セルフケアでも改善しなければ、睡眠専門のクリニックに相談しよう

睡眠の質を上げる方法は複数ありますが、環境を整えること、寝る前にするといいこと、やってはいけないことなどを理解したうえで行動するのが重要です。
また、本記事で紹介した対策を始めたけれど思うような効果がなかったという方は、一度睡眠専門のクリニックに相談するのがよいでしょう。なかにはセルフケアできない症状もあるので、専門医からアドバイスをもらうことをおすすめします。