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睡眠時無呼吸症候群の症状とはどのようなものがある?早期発見につながるポイントとは

就寝中の女性

【2023年12月26日更新】

夜中のいびきが大きいと言われた・朝起きてもすっきりしない・昼間の眠気が強い…このような症状を経験したことはありませんか。
もしかしたら、睡眠時無呼吸症候群の兆候かも知れません。そのまま放置してしまうと、症状が悪化するおそれがあるため、早い段階で対策をとりたいものです。
今回の記事を通して、症状や対策法を学びましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどのような病気なのか?

男性のいびきに悩む女性

睡眠時間を十分確保しているにも関わらず、日中も眠い状態が続いていると、睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性があります。一体どのような病気なのでしょうか。

睡眠中に呼吸が止まってしまう病気

睡眠時無呼吸症候群とは、SAS(Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれる病気であり、睡眠中に呼吸が止まる症状が繰り返し現れます。呼吸が止まると体内に酸素が取り入れられなくなり、血中酸素濃度が低下することで、日中のパファーマンスが落ちるだけでなく、放置すると様々な病気を引き起こしてしまう可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群には、次の3タイプがあります。

  • 閉塞性(OSA)… 空気の通り道である上気道が、狭くなる・もしくは完全に閉じてしまうために起こります。
  • 中枢性(CSA)…呼吸中枢がうまく働かず、呼吸をするための命令が届かなくなるために起こります。
  • 混合型…閉塞性と中枢性の症状が混合した病態です。

無呼吸の状態が一定数を超えると「睡眠時無呼吸」となる

睡眠に関する精密検査を行った結果、呼吸が止まる・もしくは浅くなる回数(AHI=無呼吸低呼吸指数)が、1時間に5回以上発生すると、「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。

特に、10秒以上呼吸が止まる状態が、1時間あたり20回以上発生すると、中等症もしくは重度の睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性が大変高くなります。

患者数は数百万人にのぼる

日本における、睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は、300万人から900万人に達すると推計されます。

ただ、症状が現れるのが睡眠中であるため、本人も周囲も気づかないケースが多く、実際の患者数はさらに多いと考えられています。また、検査や治療を受けているのは50万人程度だと言われているのが現状です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状

こめかみを押さえるシニア男性

SASに陥ると、何度も目覚めてしまう、呼吸が乱れるなどの症状が現れます。その他にも、第三者から指摘されて気づく大きないびきや無呼吸などの他覚徴候症状もあるため、周囲からいびきを指摘された際に聞き流すのではなく、自覚症状があるかなどチェックすることが大切です。

下記では、一般社団法人日本循環器学会の「AHI が 5 以上で習慣性いびき,眠気などの何らかの自覚症状をもつ者195人」を対象に行った調査を参考に、症状の出現頻度をご紹介します。

自覚症状とその出現頻度

症状出現頻度
日中の過剰傾眠83%
全身倦怠感51%
寝汗51%
起床時熟睡感の欠如51%
夜間 2 回以上排尿40%
睡眠中の窒息感を伴う覚醒38%
夜間 3 回以上の覚醒35%
起床時の頭痛35%
集中力の低下28%
不眠19%

自覚症状で最も多いのは、日中の過度な眠気で全体の83%に症状が見られました。その他にも、全身倦怠感や寝汗、起床時の熟睡感欠如も出現頻度が多く、半数以上の患者がこれらの症状を訴えています。

他覚症状とその出現頻度

症状出現頻度
睡眠中のいびき93%
睡眠時の無呼吸指摘92%
睡眠時の体動異常54%

他覚症状では、90%以上の患者が睡眠中のいびきや無呼吸を指摘されたと回答しています。
また、睡眠時に手足が激しく動く、顔をこするなどの体動異常が見られる人は、全体の54%をしめています。
周囲からいびきを指摘され、なおかつ日中の倦怠感や眠気を感じる場合は、一度医療機関へ相談してみると良いでしょう。

参考
・2023 年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン|一般社団法人 日本循環器学会

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因

睡眠時無呼吸症候群の原因には、大きく次のようなものがあります。

なお、別のコラムでも睡眠時無呼吸症候群の原因を解説しているので、併せて参考にしてください。

肥満

肥満は睡眠時無呼吸症候群の代表的な原因です。睡眠時無呼吸症候群と診断された患者さんのうち、60%以上に肥満が見られています。
肥満が原因の睡眠時無呼吸症候群は、多くの場合が「閉塞性(OSA)」です。首周りの脂肪が気道を圧迫し、無呼吸や低呼吸を引き起こします。

ただし、混合型の睡眠時無呼吸症候群である可能性も否めないため、自己判断はしないようにしましょう。

骨格

肥満と同じく閉塞性の睡眠時無呼吸症候群に多い原因が、骨格の問題によるものです。
具体的には、下あごが小さい方や歯並びが悪い方、扁桃腺が大きい方などが、睡眠時無呼吸症候群になりやすい特徴として挙げられます。
下あごが小さい方を例に挙げると、仰向けで寝た時にあごが後退しやすいことから、気道が塞がれ、無呼吸や低呼吸が引き起こされます。
骨格が原因の睡眠時無呼吸症候群は、自分自力での対策が難しいため、医療機関の力を借りるのがおすすめです。

就寝中の姿勢

就寝中の姿勢によって、一時的に睡眠時無呼吸症候群になるケースもあります。
就寝中、仰向けに寝ていると、舌が喉の奥に落ち込みやすいことから気道が狭まる、または塞がることに繋がり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こします。
就寝中の姿勢が原因で起こる睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質が低下してしまうことにも注意が必要です。無呼吸で息苦しくなった際、無理に呼吸をし続けることで覚醒反応が起こるためです。
日中の眠気を引き起こし、運転ミスによる交通事故などの重大なトラブルに繋がる恐れがあるため、早めに対策しましょう。

中枢性異常

「中枢性(CSA)」の睡眠時無呼吸症候群は、中枢性異常が原因で起こります。何らかの事情により脳から「呼吸をしなさい」という指令が出なくなり、無呼吸に陥ります。
中枢性の睡眠時無呼吸症候群が起こる原因は、医学的には未だに解明されていません。発症の確率も全体の数%と低く、珍しいタイプですが、命に関わる病気である点は閉塞性と同じです。

その他

以上に挙げた原因の他に、睡眠時無呼吸症候群は、飲酒や睡眠薬の使用にも関係していることが分かっています。この場合、睡眠時無呼吸症候群のタイプは「閉塞性(OSA)」に該当します。
しかし、繰り返しになりますが混合型の可能性も考えられるため、睡眠時無呼吸症候群の症状に気づいたら、自己判断で対処せず早めに医療機関を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって想定されるリスクとは?

血圧を図る男性

睡眠時無呼吸症候群を発症すると、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。ご自身の健康を保つために、リスクを踏まえておくことが大切です。

高血圧

睡眠時無呼吸症候群による低酸素状態は、全身に大きな負担がかかります。身体の酸素濃度が低下すると交感神経が活性化して高血圧の症状が起こります。
日本高血圧学会では、二次性高血圧の原因の一つとして睡眠時無呼吸症候群をあげています。二次性高血圧は、一般的な降圧薬が効きにくく、 睡眠時無呼吸症候群の治療により高血圧の改善が見込まれるのです。

高血圧以外の合併症

先述した低酸素状態は、心臓や血管にも負担が大きく、高血圧以外にも心筋梗塞や不整脈、脳梗塞などのリスクが高まります。

さらに、低酸素状態と睡眠不足が重なり、体にかかるストレスが大きくなると、インスリンをはじめとしたホルモンの働きが悪くなることがあります。こうなると、糖尿病や脂質異常症を引き起こす原因ともなり得るのです。

眠気による交通事故・業務災害

睡眠不足によって、眠気が強いまま日中に仕事を行っていると、居眠り運転や運転操作のミスによる交通事故・業務災害を引き起こすリスクが高まります。ご自身のみでなく周囲にも影響が及んでしまうため、日中の眠気が強い場合は、早めに対策をとらないといけません。

子どもの発症では成長に大きな影響が出る

睡眠時無呼吸症候群は、大人と子どもで基準が異なっています。子どもの場合、呼吸が止まっている時間が10秒未満であっても、止まっている回数が2回あれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されるのです。
子どもが睡眠時無呼吸症候群を発症すると、成長ホルモンの分泌が阻害されるために、発育に悪影響が見られるようになります。2歳から6歳の時期に多く見られ、成長期と重なることから、保護者の方は睡眠時の様子をしっかり観察するようにしましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策としてできることは?

ランニングする男性

睡眠時無呼吸症候群の症状を改善するには、適切な対策をとることが重要です。すぐに取り組める対策を紹介しますので、生活の質を上げるためにぜひ実行してみてください。

減量・運動

体重が多い方は、減量すると症状が改善する可能があります。特に、喉の周りに脂肪が多いと、喉が圧迫されやすくなるため、定期的に運動を行い、減量を心がけましょう。
運動は、脂肪の燃焼が期待できる有酸素運動がおすすめで、1日30分以上のウォーキングなどが取り組みやすいでしょう。

また、舌のトレーニングも並行して行ってみましょう。舌の筋力トレーニングを行うことで、舌の落ち込みが原因の気道狭窄を防ぐ効果が期待できます。

食生活の改善

減量するには、食生活の改善も大切です。偏った食材をとるのではなく、バランスの取れた食事を心がけましょう。また、朝食抜き・早食い・夜食・外食・コンビニ弁当などはできるだけ控えましょう。

睡眠時の姿勢を変える

睡眠時に、上向きでなく横向きで寝るようにしましょう。こうすると、気道の圧迫を防ぎ、落ち込むのを防げるため、いびきの軽減が見込めます。
横向きでスムーズに寝るには、抱き枕を使うのがおすすめです。

禁煙

タバコは、喉の粘膜が炎症を起こし、上気道がむくむうえ、血液中の酸素濃度が低下し中途覚醒も増えてしまいます。実際に、タバコを吸わない人よりも吸う人の方が、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いことが分かっています。
睡眠時無呼吸症候群の症状を改善したいのであれば、禁煙するのが近道です。

病院への受診

自分に合った対策が分からない場合や、対策を行っても改善の兆候が見られない場合などは、専門病院への受診も有効です。特に重度の症状が見られる場合は、できるだけ早く受診し、適切な治療を受けることが、症状改善への近道です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法

あくびする男性

睡眠時無呼吸症候群への対策の1つとして、病院を受診することを挙げました。そこで、ここからは病院を受診した場合、どのような検査や治療が行われるのかについてお話していきます。
まずは、検査方法を見ていきましょう。睡眠時無呼吸症候群の疑いがある方に対しては、次のような検査が行われます。

問診

最初に行われるのは、「エプワース眠気尺度(ESS)問診票」と呼ばれる問診票を使用した問診です。以下のような状況下で、患者さんがどの程度の眠気を感じるかを調べます。

  • 座って読書をしている時
  • テレビを見ている時
  • 会議中など、人が大勢いる時
  • 乗客として1時間以上、休憩なしで乗っている時
  • 午後に横になって休憩している時
  • 座って人と話している時
  • 飲酒をせずに昼食をとった後、静かに座っている時
  • 自動車を運転中、信号や渋滞で数分間止まった時

以上の状況下で眠気を感じる度合いを4段階で点数づけし、全項目の合計点をもとに、睡眠時無呼吸症候群の程度を判断します。

簡易検査(アプノモニター)

問診の結果、検査が必要だと判断された場合、まずは簡易検査を受けるのが一般的です。
簡易検査では、「アプノモニター」と呼ばれる装置を自宅へ持ち帰り、次のような項目を調べます。

  • 無呼吸の回数
  • 低呼吸の回数
  • 血中酸素濃度
  • いびきの状態

具体的な調べ方としては、就寝時に鼻呼吸センサーと酸素濃度センサーを装着し、1晩から2晩を過ごすだけです。ただし、取り付けの仕方が間違っていると正しい結果が出ないため、装置の貸し出し時に医療機関で受ける説明をよく聞いておきましょう。

なお、この簡易検査で「AHI」と呼ばれる1時間当たりの無呼吸・低呼吸の合計回数が40以上の場合は、睡眠時無呼吸症候群と診断されることが多いです。
AHIについて、詳しくは下記のコラムをご覧ください。

精密検査(ポリソムノグラフィー)

簡易検査の結果次第では、精密検査を受けるよう医師より指示があります。
精密検査では、例えば次のような項目を調べます。

  • 脳波
  • 眼球運動
  • 筋電図
  • 心電図
  • いびきの回数
  • 無呼吸の有無と度合い
  • 低呼吸の有無と度合い

簡易検査と違い、精密検査を受ける時は医療機関への入院が必要です。しかし、近年は夜に入院して、翌朝には退院できる医療機関が増えていることから、仕事や生活に大きな影響は出ないためご安心ください。

睡眠時無呼吸症候群の検査については、下記のコラムも参考にしてください。

続いては、睡眠時無呼吸症候群の治療方法を見ていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法は「CPAP治療」「マウスピース治療」「外科手術」の3つが一般的です。原因や重症度によって、どの治療が適用されるかが変わります。

CPAP治療

専用の装置を使い、マスクとホースを通して鼻から空気を送る治療方法です。
気道が塞がっている状態を改善することで、無呼吸や低呼吸を減らします。ほとんどの睡眠時無呼吸症候群の方に効果的で、睡眠時無呼吸症候群によって血圧が上昇している場合は、血圧を下げることもできます。
CPAP治療には保険が適用されます。安心して治療を受けてください。

マウスピース治療

睡眠時無呼吸症候群の重症度が軽度、または中等程度の方に行われる治療が、マウスピース治療(口腔内装置治療)です。文字通りマウスピースを装着する治療方法で、下顎の位置を調整することで気道を空気が通りやすくします。
マウスピース治療は、CPAP治療と併せて行われることがあります。また、CPAP治療と同様、マウスピースの製作には保険が適用される場合があるため、まずは医師に確認してみましょう。

外科手術

下あごが小さかったり、扁桃腺が大きかったりなどが原因で睡眠時無呼吸症候群の症状が出ている方には、外科手術による治療が行われます。この他、鼻に疾患がある場合はCPAP治療やマウスピース治療が難しいため、外科手術をしなければならないケースがあります。
以上に挙げた以外にも、睡眠時無呼吸症候群の治療方法は多様です。もしも睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、どのような治療が行われるのか、医師にしっかりと確認しておきましょう。

なお、睡眠時無呼吸症候群の治療方法については、より詳しく下記のコラムで解説しています。併せてご覧ください。

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カルテを見る医者

睡眠時無呼吸症候群の症状に困っていて、根本的な原因を突き止めたうえで適切な治療を受けたいと考えておられる方は、いびき治療に特化した専門病院のイビキメディカルクリニックにご相談ください。当院では、お悩みの方に寄り添うべく、無料カウンセリングを用意しています。無料カウンセリングは完全予約制とさせていただいておりますので、お電話もしくはメールにてご予約ください。

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まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、合併症を引き起こすことも多く、最悪の場合命に関わるケースもあります。今回紹介した症状が現れている場合は、病院を受診したうえで対処法を検討しましょう。

【よくある質問】

Q.睡眠時無呼吸症候群の症状には、どんなものがありますか?

A.睡眠時無呼吸症候群のもっとも代表的な症状は大きないびきです。喉の筋肉が緩むことから起こり、呼吸が止まることもあります。いびきの他には、夜間の中途覚醒が増える、頻尿が起こる、起床時の頭痛や頭重がひどい、日中の眠気が強いなどの症状も見られます。

Q.睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなりますか?

A.睡眠時無呼吸症候群を放置すると、健康に悪影響が及ぶ恐れがあります。睡眠時無呼吸症候群によって低酸素状態になると、全身や臓器、血管に大きな負担がかかり、高血圧や心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などのリスクが高まるためです。

さらに、日中の眠気が交通事故や業務災害を引き起こす可能性もあります。

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