ショートスリーパーとは?特徴や睡眠時間と寿命・早死にリスクの真実|時間の有効活用術

睡眠障害・不眠症
更新日 / 2026.10.09
このコラムの監修医師
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック 指導医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック 指導医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。

仕事、家事、勉強、副業、趣味など…やりたいことが増えるほど、1日の時間が足りなくなりますよね。
日本人の平均睡眠時間は4年連続で世界最下位となっており、これには日本人が時間を捻出する際に真っ先に削られるのが「睡眠時間」という傾向が大きく影響しています。

そんな慢性的な睡眠不足状態が根付いてしまっている状態ですが、そこに大きな健康リスクが潜んでいることはあまり重要視されていません。

ここでは、ショートスリーパーの学術的な定義や、寿命・早死にリスクとの関係性。睡眠時間を削らない時間の有効活用法を解説します。

ショートスリーパー(短時間睡眠者)とは?

ショートスリーパーとは、6時間未満の睡眠でも健康と日中の活動パフォーマンスを保てる体質の人を指します。

米国睡眠医学会(AASM)の睡眠障害国際分類(ICSD-3)や精神疾患診断・統計マニュアル(DSM-5)等の臨床医学的知見において、以下の条件を全て満たす場合をショートスリーパーと定義します。


  • 恒常的な短時間睡眠
    目覚まし時計などの外部からの刺激がなく、1日の睡眠時間が6時間未満(多くは4〜6時間)である。
  • 日中の機能不全がない
    睡眠不足に伴う「日中の強い眠気」「集中力・記憶力の低下」「感情の不安定化」「疲労感」などの症状が一切見られない。
  • 休日に寝溜めをしない
    平日・休日・長期休暇を問わず、常にほぼ同じ短時間の睡眠で自然に目覚める。
  • 生涯にわたる睡眠時間の維持
    睡眠時間の短さが生活環境や努力による一時的なものではなく、生涯にわたって維持されている。

体質的なショートスリーパーには遺伝子の変異が関係しているという研究結果があります。

2009年に米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のYing-Hui Fu教授らが、Science誌で報告しました。 短眠の家系にDEC2遺伝子の変異があり、変異を持つ人は睡眠が平均約2時間短いという結果でした。

2019年には、同じ研究グループがNeuron誌でADRB1遺伝子の変異を報告しました。 別の短眠の家系で見つかった変異です。同様の変異を注入したマウスも、睡眠時間が短くなりました。


参考:
He, Y., Jones, C. R., Fujiki, N., Xu, Y., Guo, B., Holder, J. L., Jr, Rossner, M. J., Nishino, S., & Fu, Y. H. (2009). The transcriptional repressor DEC2 regulates sleep length in mammals. Science, 325(5942), 866–870.
参考:
Shi, G., Xing, L., Wu, D., Bhattacharyya, B. J., Jones, C. R., McMahon, T., Chong, S. Y. C., Chen, J. A., Coppola, G., Geschwind, D., Krystal, A., Ptáček, L. J., & Fu, Y. H. (2019). A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors. Neuron, 103(6), 1044–1055.e7.
参考:
Xing, L., Shi, G., Mostovoy, Y., Gentry, N. W., Fan, Z., McMahon, T. B., Kwok, P. Y., Jones, C. R., Ptáček, L. J., & Fu, Y. H. (2019). Mutant neuropeptide S receptor reduces sleep duration with preserved memory consolidation. Science translational medicine, 11(514), eaax2014.

ショートスリーパーと睡眠不足の見分け方

短時間睡眠で平気だと感じる人の多くは、睡眠不足に慣れただけで体や脳のパフォーマンスは低下しています。

日常生活で以下のどれかに当てはまる場合はショートスリーパーではなく、慢性的な睡眠不足や睡眠負債を抱えているが、自覚症状がないだけの可能性が高いです。


  • 休日に平日より1時間以上長く眠っている
  • 眠気をカフェインや栄養ドリンクで抑えている
  • 会議中や移動中に、気づくとぼんやりしていることがある
  • 同じミスが増えている

日常生活を思い返して当てはまる項目があった場合は、一度睡眠を見直してみることをおすすめします。

ショートスリーパーになる方法はある?

ショートスリーパーに後天的になる方法は、現状では確認されていません。

理由は3つあります。


  • 体質的なショートスリーパーには遺伝子の関与が示されています。
  • 短時間の睡眠を継続的にさせた実験で、能力の低下が確認されています。
  • 短眠トレーニングの有効性と安全性を示した臨床研究は、確認されていません。

2003年に米ペンシルベニア大学の研究チームが、Sleep誌で報告した実験が代表例です。健康な成人の睡眠を、14日間にわたり4時間・6時間・8時間に制限しました。結果は次のとおりです。


  • 4時間・6時間の群では、注意力と反応の成績が日ごとに低下した
  • 低下は、2晩ほどの徹夜に相当する水準まで進んだ
  • 本人の眠気の自己評価は、成績の低下ほど大きく変化しなかった

つまり、睡眠を削ると能力が落ち、落ちたことに気づきにくくなります。短い睡眠時間に「慣れた」という感覚は、回復をしている証拠ではありません。

また、1日の中で複数回に分けて睡眠をとる「多相睡眠」も同様です。
短い仮眠を複数回に分けて総睡眠時間を減らす方法で、長期的な安全性と有効性を示した十分な臨床研究は確認されていません。


参考:
Van Dongen, H. P., Maislin, G., Mullington, J. M., & Dinges, D. F. (2003). The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep, 26(2), 117–126.

ショートスリーパーは寿命が短い?早死にするリスクが高まる?

睡眠時間が短い人は、死亡リスクが高い傾向にあります。 また、睡眠が長すぎる場合も死亡リスクは高まります。

ただし、体質的なショートスリーパーの寿命を示す十分なデータは不十分です。体質的なショートスリーパーが「必ず早死にする」とも、「問題がない」とも断定はできません。

睡眠時間と寿命の関係

睡眠時間と死亡リスクの関係は、7時間睡眠が一番死亡リスクが低く、睡眠時間が極端に短いのも長いのも死亡リスクが上がります。

睡眠時間と死亡リスクの関係性のグラフ

日本の文部科学省が主導し、日本人約10万人を対象に行った疫学研究では以下の結果が得られました。


  • 睡眠時間が「7時間(6.5~7.4時間)」のグループが男女ともに最も死亡率が低かった
  • 特に9時間以上の長時間睡眠において死亡リスクの上昇が顕著だった
  • 短時間睡眠の場合も、5時間未満では死亡リスクが上昇した

また、米カリフォルニア大学の研究でも男女110万人を6年間追跡調査した結果、以下の結果が得られました。


  • 7時間睡眠の人の生存率が最も高いことが示された
  • 8時間睡眠の人でも、7時間睡眠の人と比較して死亡リスクが約12%上昇した。
  • 8.5時間以上または3.5~4.5時間睡眠の人では、7時間睡眠の人と比較して死亡リスクが15%以上も上昇した。

日本国内や海外でも睡眠に関しての大規模な研究が行われていますが、従来の「睡眠不足は危険」という認識から、「実は長時間の睡眠も睡眠不足と同じくらい危険」ということがデータから示唆されています。


参考:
Tamakoshi, A., Ohno, Y., & JACC Study Group. (2004). Self-reported sleep duration as a predictor of all-cause mortality: results from the JACC study, Japan. Sleep, 27(1), 51–54.
参考:
Kripke, D. F., Garfinkel, L., Wingard, D. L., Klauber, M. R., & Marler, M. R. (2002). Mortality associated with sleep duration and insomnia. Archives of general psychiatry, 59(2), 131–136.

睡眠不足が引き起こす病気と早死にのリスク

睡眠不足と病気の関係性は、多くの研究で示されています。


  • 心血管疾患・高血圧
    6時間未満の睡眠を続けると、6〜8時間睡眠の人に比べ冠動脈疾患の発症・死亡リスクが48%増加し、脳卒中の発症リスクが15%増加します。
  • 2型糖尿病・肥満
    6時間未満の睡眠は、2型糖尿病の発症リスクを28%増加させます。また、肥満リスクが成人で55%増加します。
  • うつ病(精神疾患)
    慢性的不眠や短時間睡眠を抱える人は、良好な睡眠をとっている人に比べてうつ病を発症する確率が約2.27倍に跳ね上がります。
  • 認知症(アルツハイマー病など)
    50〜60代で継続的に睡眠時間が6時間以下の場合、7時間睡眠の人に比べて将来の認知症発症リスクが約30%高くなります。

習慣的な短時間睡眠は、明確に生活習慣病や心血管疾患のリスクを高めることが研究からわかっています。


参考:
Cappuccio, F. P., Cooper, D., D'Elia, L., Strazzullo, P., & Miller, M. A. (2011). Sleep duration predicts cardiovascular outcomes: a systematic review and meta-analysis of prospective studies. European heart journal, 32(12), 1484–1492.
参考:
Cappuccio, F. P., D'Elia, L., Strazzullo, P., & Miller, M. A. (2010). Quantity and quality of sleep and incidence of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Diabetes care, 33(2), 414–420.
参考:
Cappuccio, F. P., Taggart, F. M., Kandala, N. B., Currie, A., Peile, E., Stranges, S., & Miller, M. A. (2008). Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep, 31(5), 619–626.
参考:
Baglioni, C., Battagliese, G., Feige, B., Spiegelhalder, K., Nissen, C., Voderholzer, U., Lombardo, C., & Riemann, D. (2011). Insomnia as a predictor of depression: a meta-analytic evaluation of longitudinal epidemiological studies. Journal of affective disorders, 135(1-3), 10–19.
参考:
Sabia, S., Fayosse, A., Dumurgier, J., van Hees, V. T., Paquet, C., Sommerlad, A., Kivimäki, M., Dugravot, A., & Singh-Manoux, A. (2021). Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia. Nature communications, 12(1), 2289.

無理に睡眠を削らない時間の有効活用術

有効活用できる時間を増やす近道は、睡眠を削ることではありません。起きている時間の質・睡眠の質を高めることです。 睡眠の質を上げると、同じ睡眠時間でもパフォーマンスの改善が見込めます。

睡眠時間を削らずにパフォーマンスを高める考え方

睡眠を1時間削って得られるのは、パフォーマンスが下がった1時間ということを覚えておきましょう。前述した研究結果が示すとおり、パフォーマンスは下がっているが自覚症状がない状態が続いていきます。

見直す対象は、睡眠時間ではなく別の時間です。

見直すべき習慣

  • だらだらとする時間を減らす
    一日の中でなんとなくダラダラしてしまう時間を意識的に減らすことで生産性が高まります。
  • 必須タスクの簡略化
    家事などの必須なタスクも家電を活用したり、行う曜日を固定したり簡略化することで大きな時間を捻出できます。

日常生活の中で不要な時間を削ることで生活の質を上げることができるでしょう。

睡眠の質を高める

睡眠の質は、時間の長さではなく、目覚めたときの休養感で評価します。

睡眠の質を上げる基礎的な要点は、次の3つです。


  • 起床時刻を固定する
    固定することで体内時計が整い、寝つきが改善します。
  • 起床後に日光を浴びる
    日光を浴びておくことで、夜の自然な眠気につながります。
  • 寝室を暗く、静かに保つ
    光や音は、睡眠を浅くしてしまい、睡眠の質低下に繋がります。

また、睡眠の質を上げるためには様々な方法があるので、自分に合っている習慣を取り入れることも非常に重要です。

睡眠の質を高める食べものをまとめました。

  • バナナ
  • 卵
  • 大豆
  • 魚
  • 肉(牛・豚・鶏)
  • キノコ

具体的な食材の効果を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。効果的な食べ合わせのアイデアも解説しています。

睡眠の質は、飲み物で対策することも可能です。寝る前に飲むことで快眠を手に入れやすい飲み物を以下に整理しました。

  • ホットミルク
  • ホットティー(ノンカフェイン)
  • ハーブティー(ノンカフェイン)
  • ホットココア
  • 甘酒
  • ホットジンジャー
  • 白湯
  • トマトジュース
  • 乳酸菌飲料

また、飲み物を飲むタイミングや逆に睡眠の質を下げる飲み物も解説しているので、以下の記事をチェックしてみてください。

お金をかけずに睡眠の質を上げたいときに役立つのが、ストレッチです。寝る前にできる簡単なストレッチを以下に整理しました。

  • 立ったままできる腕まわしストレッチ
  • お風呂でできる首もみストレッチ
  • 座ってできる足もみストレッチ
  • 寝た状態でできる足首ストレッチ
  • テレビを見ながらできる伸びストレッチ

具体的なストレッチのやり方は、以下の記事をチェックしてみてください。

短時間睡眠や不眠が続くのは危険な病気のサイン?

なかなか眠れないという状態が続いているのに眠くなかったり、眠気はあるように感じるのに寝付けないような状態が続くのは病気のサインの可能性があります。

睡眠の他にも以下の症状に当てはまる場合には病院の受診を検討しましょう。


  • 日になんとなく不調を感じる
  • 起床時の頭痛がある
  • いびき、睡眠中の呼吸停止を指摘された
  • 日中に強い眠気を感じる
  • 決めた時間に眠れない・起きれない
  • やる気が起きない
  • 慢性的に体がだるい

特に注意が必要なのは、睡眠の必要を感じず活動的な状態が続くケースです。 本人は元気だと感じますが、躁状態の症状として現れる場合があります。

病院を受診するタイミング


次のいずれかに当てはまる場合、睡眠外来への相談をおすすめします。

  • 眠れない状態が1か月以上続いている
  • 日中の眠気で、仕事や運転に支障が出ている
  • いびきや睡眠中の呼吸が止まっている状態を指摘された
  • 睡眠をとっていないのに、活動的な状態が続いている
  • 休日に長時間眠らないと、体がもたない

ショートスリーパーについてのまとめ


  • ショートスリーパーは遺伝的な体質で、後天的になる方法は現状ありません。
  • 睡眠を削るとパフォーマンスの低下を招き、低下したことには本人が気づくことは難しいです。
  • 習慣的に短時間の睡眠を継続するのは、心血管疾患・高血圧・認知症などのリスクが高まります。

時間がなくてショートスリーパーになりたいと思っている方は、1日の時間の使い方を見直して有効活用することを目指しましょう。

自分が「ショートスリーパーかも?」「最近あまり寝れていない・・・」と感じている方は症状に応じて病院の受診も検討しましょう。

FAQ

ショートスリーパーについてよくある質問

ショートスリーパーって何ですか?
努力すればショートスリーパーになれますか?

なれません。ショートスリーパーは遺伝子の変異が関係していて、訓練や努力で後天的になることは現在では不可能です。

毎日30分睡眠で日常生活を送ることはできますか?

体質的なショートスリーパーの中でも限りなく不可能だと考えられます。

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