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いびきをかくときには、寝ている間に舌や軟口蓋が喉の奥に落ち込み、気道が塞がれていることが多いです。
そのため、酸素が不足し、質の良い睡眠はとれません。
いびきをかくことが慢性化しており、生活に支障はないと感じていても、実際には病気につながることもあるため注意が必要です。
そこで、いびきはどのような病気につながるのか解説し、すぐに実践できるいびき改善トレーニングを紹介します。
いびきは命にかかわる?危険な病気について

普段いびきをかいていても、誰でもあることと思いこみ、いびきを重要視していない方も多いでしょう。
しかし、いびきを悪化させると命の危険もあるため、注意が必要です。
命にかかわるものとして代表的なのは、睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群患者の多くが習慣的ないびきをかいています。
睡眠時無呼吸症候群になると質の良い睡眠をとれなくなり、昼間に強い眠気を感じたり集中力がなくなったりします。
さらに、心筋梗塞といった循環器系の病気や、糖尿病といった代謝系の病気を引き起こす恐れもあるのです。
他にもうつ病やAGA(男性性脱毛症)、抜け毛、薄毛、不妊や勃起不全などへとつながる可能性もあります。
いびきは普段の生活にも悪影響を及ぼす

いびきをかくことによって睡眠の質が悪くなり、熟睡できずにスッキリせず、体に疲れが蓄積します。
睡眠不足の状態が続くと脳が活性化せず鈍くなり、判断力や注意力、記憶力の低下につながるのです。
仕事で小さなミスが増えたり、車を運転する際に事故を起こしたりと、日常生活に大きな悪影響を及ぼすケースも珍しくありません。
また、いびきが大きいことで、同じ寝室にいる家族が眠れなくなると人間関係にも問題が起こる可能性があるでしょう。
いびきは病気のサイン?病気との関係性

いびきをかく原因として、病気が隠れている可能性があります。そこで、いびきと関連性が深い病気について、症状や危険性を確認しておきましょう。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とはその名の通り、寝ているときに呼吸が一時止まったり非常に浅くなったりする症状です。
十分に呼吸ができないと、命にかかわるリスクがあります。
脳梗塞
脳梗塞といった脳の病気が潜んでいることによって、舌周辺の筋肉が緩み、いびきを生じている場合があります。
いびきをかいており、家族に起こされてもすぐに起きられない(家族から見ると意識がない)場合には脳の異常を疑いましょう。
甲状腺機能低下
甲状腺機能の低下があると甲状腺ホルモンが減り、上気道の筋肉が緩む、舌が肥大するなどの症状が起こります。
その症状があると気道が塞がり、いびきをかきやすくなるのです。
特に、女性は年齢を重ねると甲状腺ホルモンの分泌量が減少するため、注意しましょう。
注意したいいびきの特徴
病気が原因でいびきをかいているケースもありますが、いびきをかくからといって必ず注意をしなければならないわけではありません。注意したいいびきには次のような特徴があります。
- これまでいびきをかいたことがないにもかかわらず、突然いびきを生じた場合には、体調が悪い可能性があるでしょう
- いびきをかくペースが早いと、呼吸器系の疾患が潜んでいる可能性があります
- いびきが大きい方や、息を吸う際だけではなく吐く際にも大きな音が出るいびき(往復いびき)をかいている場合には注意しましょう
- 脳に酸素が供給されず、血圧に悪影響を及ぼす可能性があります
なお、本人はいびきを自覚していないケースも多いため、家族やパートナーに確認してもらうことも大切です。
自宅でできる!いびき改善トレーニング

いびき改善のためのトレーニングは、自宅で簡単に取り組めるものが多いです。隙間時間に、こまめにトレーニングをしましょう。
舌のトレーニング
舌のトレーニングは簡単な5つのステップで行えます。1週間ほど続けると効果を実感できる方が多いです。
1.最初のステップは、舌を前後上下に動かします。
口を開けた状態で舌を前に出し、5秒維持します。次に、舌の先を上の歯の裏につけたまま後ろに動かし、5秒維持しましょう。この舌の前後運動を3セット行います。
2.舌を上下に動かす運動です。
口を開けたら舌を上顎に押し付けて10秒を維持、終わったら次は下顎に押し付けて10秒維持します。舌の上下運動も3セットです。
3.舌を回転させます。
口を閉じた状態で奥歯から順に、歯の表面を確かめるようにして舌を動かすことで回転させる運動です。下の回転運動を3セット行います。
4.舌とあごの運動です。
口を大きく開けたら「あー、いー、うー、えー、おー」とゆっくりと声に出して口と顔の筋肉を動かしましょう。
ただし、あごや舌が痛いと感じる場合には、無理をする必要はありません。こちらも3セットです。
5.最後のステップとして、頬の運動です。
口を閉じたら頬を膨らませ5秒維持、終わったら次は口をすぼめた状態で5秒維持するというトレーニングを3セット行います。
1~5のステップを、お風呂に入るときや、家事や仕事の隙間時間に実践しましょう。
鼻で呼吸するためのトレーニング
睡眠中は呼吸を意識して調整するのが困難です。自然と鼻呼吸トレーニングができる方法として、市販されているテープを使用する方法が有効です。
口呼吸をやめるために、上下の唇を開かないようにするテープが市販されていますし、絆創膏を使うことでもトレーニングできます。
また、鼻腔を拡張できるテープは貼って寝るだけで自然と鼻呼吸を行えるようになるでしょう。
口に貼るテープは慣れるまで違和感を覚えることがあるため、睡眠の妨げになる場合には無理をしないことが大切です。
また、寝ている間だけではなく、生活の中でも鼻呼吸になるように意識しましょう。
人間は、本来鼻で呼吸をするものです。普段から口を閉じ、鼻呼吸をするように意識するクセをつけると、寝ている間も自然に鼻呼吸をできるようになります。
例えば、階段の上り下りや軽い運動した際に息が上がったときなどにも、口呼吸ではなく、鼻呼吸をすることを意識しましょう。
自律神経を整えるのも大切
いびきそのものを止める方法だけではなく、いびきと関連性が深い、睡眠そのものにも着目してケアをする必要があります。睡眠の質を向上することで、いびき対策にもつながるのです。
睡眠の質を向上させるためにポイントになる成分は、「トリプトファン」です。
トリプトファンが脳に到達すると、「セロトニン」と呼ばれる、神経を安定させる物質に変化します。
セロトニンは、睡眠を促すホルモンの「メラトニン」の材料になる物質です。
体の中に入ったトリプトファンが脳に運ばれてセロトニンに変わり、メラトニンを生成するという流れは、約15時間かかります。
そのため、朝トリプトファンを取り入れると昼間セロトニンに変換され、夜メラトニンになるということです。
質の良い睡眠をとるため、朝食にはトリプトファンが多く含まれている食材を摂取しましょう。
豆腐や納豆、味噌、ヨーグルトや牛乳、卵、ピーナッツ、バナナなどが、トリプトファンを多く含む食品です。
いびき改善トレーニングの効果を確認する方法

口呼吸やいびきを改善するため、トレーニングやいびき対策アイテムでいびきが改善されたかどうか、確認できると励みになりますね。
しかし、自分の知覚で確認するのは難しいことです。
いびきをかくとアラームやバイブが鳴るアプリや、いびきを録音できるアプリなどがあるので活用しましょう。
いびき改善なら専門クリニックで相談しよう
いびきの改善には、自分の続けやすいトレーニングと対策アイテム、トレーニングアプリを併用と良いでしょう。
ただし、いびき対策を長期間行っても改善しない場合には、いびきを放置せず、専門クリニックに相談しましょう。