睡眠時無呼吸症候群で尿酸値が上昇?痛風との関係について分かりやすく解説

睡眠時無呼吸症候群の原因
2025.06.09
このコラムの監修医師
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック いびき専門医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック いびき専門医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。

健康診断で尿酸値が高いと言われた人や、痛風に悩んでいる人はいないでしょうか。もしかするとそれは、睡眠時無呼吸症候群が原因かもしれません。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と尿酸値上昇や痛風発症の関係性や、改善方法を紹介します。なぜ睡眠中のトラブルが尿酸値上昇や痛風につながるのか知りたい方は、参考にしてみてください。

痛風(高尿酸血症)とは

脚を抑える男性

痛風とは、血液中の尿酸値が上昇して、関節の節々に尿酸の結晶ができ痛みを感じる病気のことです。別名「高尿酸血症」と呼ばれており、風を感じるだけでも痛みに襲われるため、痛風という名前が浸透しています。例えば、次のような原因で発症するのが特徴です。
 

  • 食べすぎ
  • 飲みすぎ

特に尿酸のもとになる「プリン体」を含む内臓系の料理や干物、お酒を摂取しすぎる人は、痛風のリスクが高いと言われています。尿酸が蓄積すると1週間前後は激痛が続くため、日常生活に影響が出てしまうことに注意してください。また食べすぎ・飲みすぎを続けると、何度も痛風を発症することも注意すべきポイントです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人は痛風になりやすいって本当?

夫のいびきに悩まされる妻

人によっては、寝ているとき一時的に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を発症している人もいます。睡眠中の呼吸が十分にできず酸素不足になり体調不良や合併症を引き起こしやすい睡眠トラブルです。そして、睡眠時無呼吸症候群を発症している人は、通常の人よりも痛風になりやすいことをご存じでしょうか。

一見するとまったく関係ないように見える2つの病気の関係性を、わかりやすく解説します。

参考:
睡眠時無呼吸症候群と痛風・高尿酸血症|松本美富士

睡眠時無呼吸症候群で尿酸値が急に上がる原因は酸素不足

睡眠時無呼吸症候群を発症している人は、睡眠中に十分な酸素を取り入れることができず、痛風の原因である尿酸値が上がると言われています。

まず人間の体は、酸素不足が続くと「体が疲れている」と自動で判断し、エネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれる成分を分解して酸素不足を補うのが特徴です。ですが同時に、尿酸が生成されることに注意しなければなりません。体にとって必要な仕組みではありますが、同じ状態が続けば続くほど血液中の尿酸値が上がり、痛風を発症しやすくなります。

アデノシン三リン酸(ATP)の分解作用は、激しい運動をしているときなど、単発的に起こるのが一般的です。対して、睡眠時無呼吸症候群を発症している人は、毎日の睡眠時間中に同じ作用が立て続けに起きてしまうことに注意してください。睡眠時無呼吸症候群の頻度が高い人、症状が重い人ほど痛風のリスクが高まってしまうため、睡眠時無呼吸症候群と痛風には深い関係性があると覚えておきましょう。

睡眠時無呼吸症候群・痛風の患者の共通点

睡眠時無呼吸症候群や痛風を発症している人には、次のような共通点が見られます。
 

  • 男性もしくは更年期障害を発症している女性である
  • 体重・BMIが基準値を超えている
  • あご下や首周りに脂肪がついている
  • 暴飲暴食をしている
  • 血圧が高い
  • 血糖値が高い
  • コレステロール値が基準値を外れている

上記の項目を簡単にまとめると「肥満体型である」「不摂生を続けている」という言葉に置き換えられます。痛風と言えば男性が発症する病気だと思われがちですが、女性であっても男性ホルモンが増えだす更年期を迎えると痛風を発症することも少なくありません。

当てはまる項目が多いほど発症リスクが高く、場合によっては2つまとめて発症するケースもあります。自身の健康寿命を短くしないためにも、早めの改善が必要です。

尿酸値20以上の人は痛風以外の合併症にも注意

日本人の場合、尿酸値の基準は2.0~7.0mg/dLだと言われています。7.0mg/dLを超える人は尿酸値が高く痛風になりやすく、逆に2.0mg/dLよりも低い値の人は低尿酸血症として腎不全などを患いやすくなるのが特徴です。

また、基準値を大幅に超え20mg/dL以上の尿酸値だと判断された方は、痛風だけでなく次のような合併症に注意してください。
 

  • 高血圧
  • 心不全
  • 糖尿病
  • 不整脈
  • 冠動脈疾患

尿酸値が高いということは、その分だけ睡眠時無呼吸症候群を発症しやすいです。睡眠時無呼吸症候群には上記の合併症リスクもあるため、症状が悪化するために改善を始めることが欠かせません。

いびきをかく人も尿酸値上昇や痛風のリスクあり

夫のいびきで眠れない女性

尿酸値の上昇や痛風のリスクを高めるのは、睡眠時無呼吸症候群だけではなく「いびき」が原因になるパターンもあります。

いびきは、口蓋垂(のどちんこ)のほうに舌が落ち込み、気道がふさがれることによって起こるトラブルです。睡眠時無呼吸症候群ほどではありませんが、体内に取り込む酸素量が減り、尿酸値上昇や痛風のリスクが高まります。

普段いびきをかいている人にも痛風が関わってくるため、できる限り早めの改善を目指しましょう。

痛風・睡眠時無呼吸症候群を加速させる原因【NG行動】

ソファで横になる女性

現在「痛風」「睡眠時無呼吸症候群」の片方もしくは両方を発症しているのなら、すぐに本項で紹介する行動をやめましょう。紹介するNG行動を続ける人は、症状が悪化しやすいほか、合併症のリスクが高まります。

睡眠不足な生活を続ける

「夜遅くまで好きなことしている」
「睡眠時間を削って自分の時間を確保している」

という人は、その行動が睡眠時無呼吸症候群の悪化につながることに気を付けてください。

睡眠不足な生活が続くと次第に自律神経が乱れ、免疫力の低下や肥満、高血圧といった問題が起きてしまいます。日本人の適正睡眠時間は6~8時間程度だと言われているため、睡眠時間が6時間未満の人は十分な睡眠時間を確保しましょう。

ストレスを溜めこんだまま過ごす

「仕事のストレスが溜まり続けている」
「毎日イライラしている」

という人は、その状態が長期化すると自律神経が乱れて不眠症といった問題が起きてしまうことに注意してください。

また自律神経が乱れてしまうということは前述した内容と同様に、免疫力の低下・肥満・高血圧といった問題が起きやすくなります。現在ストレスを溜めている人はストレス解消の趣味を見つけるか、十分な睡眠時間を確保することが重要です。

アルコールを過剰に摂取する

「毎日浴びるようにお酒を飲んでいる」
「お酒を飲まないと眠れない」

という人は、すぐにアルコール摂取を控えてください。アルコールが体に残ったまま眠ると、睡眠の質が低下して睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなるほか、お酒に含まれているプリン体のせいで痛風を発症しやすくなります。

痛風・睡眠時無呼吸症候群という2つの問題に影響するため、お酒の量を減らすか、この機会に禁酒を始めてみるのが良いでしょう。

痛風・いびきを併発している人は睡眠時無呼吸症候群を発症しているかも!

注意をうながす医師

すでに関節に痛みがあり、寝るときにいびきをかいているという人は、同時に睡眠時無呼吸症候群を発症しているリスクが高いです。各症状は、すべて体に悪い働きを引き起こすほか、1つの症状が別の症状を悪化させる原因になります。

もし痛風による関節の激痛をなくしたいのなら、すぐに対策をスタートできる睡眠トラブルの解決を検討するのがおすすめです。いびき・睡眠時無呼吸症候群を解決できれば次第に尿酸値が下がり、痛風を発症しにくくなるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)・痛風の改善方法

ラジオ体操をする家族

睡眠時無呼吸症候群(SAS)・痛風を改善したい、症状を軽くしたいと考えている人向けに、具体的な対策を3つ紹介します。自身の症状に合う対策をチェックしてみてください。

運動・食事など生活習慣を改善する

まだ重症化していないけれど「睡眠時無呼吸症候群を発症している」「関節に痛みがある」という方は、生活習慣の改善に取り組みましょう。例えば次の対策が睡眠時無呼吸症候群・痛風に効果的です。
 

  • 適正睡眠時間を確保する
  • 栄養バランスのとれた食事を心がける
  • 適度な運動を続ける(ダイエットする)
  • 就寝前のアルコール摂取をやめる

上記の対策は日常的に続けることが重要です。まだ症状が軽いのなら、セルフケアだけで改善できるかもしれません。

いびき・睡眠時無呼吸症候群を専門のクリニックに相談する

いびき・睡眠時無呼吸症候群が改善できないとお悩みなら、次のような専門のクリニックに相談するのがおすすめです。
 

  • いびき外来・無呼吸外来
  • 耳鼻咽喉科
  • 呼吸器内科
  • 歯科

各診療科では、睡眠の状態やいびき・睡眠時無呼吸症候群の検査を実施したのち、適切な治療方法を提案してもらえます。日常的に実施できる改善方法のアドバイスももらえるので、改善できないと不安な方は専門家に相談してみてください。

痛風を内科・外科に相談する

痛風の悩みを改善できないのなら、内科・外科に相談してください。

内科・外科では尿酸値の検査をもとに痛風の治療方法をアドバイスしてもらえます。治療薬を処方してもらえるため、激痛が続く痛風を早期解決しやすいのが特徴です。

睡眠時無呼吸症候群の治療には切らない いびきレーザー治療「パルスサーミア」がおすすめ

診察をする医師

もし、睡眠時無呼吸症候群を発症しているのなら、急いで治療をスタートする必要があります。
治療に当たっては、いびき・睡眠時無呼吸症候群の根本的な原因を解決できる、切らない いびきレーザー治療「パルスサーミア」がおすすめです。

パルスサーミアは、外科的治療を必要としない痛みの少ない治療方法となります。口蓋垂(のどちんこ)まわりの粘膜を引き締めることにより、睡眠中の気道を確保できるのが特徴です。

またパルスサーミアはダウンタイムがほぼなく、翌日からすぐ日常生活に戻れます。手軽に利用できるいびき・睡眠時無呼吸症候群の治療方法であり、痛風の進行を抑えるきっかけになるため、興味があるからは以下の記事をチェックしてみてください。

睡眠時無呼吸症候群かもしれないと感じた人は、いびきメディカルクリニックへ

一見まったく異なる症状に見える痛風と睡眠時無呼吸症候群は、裏で深いつながりをもつ病気です。片方の問題が悪化すると、もう片方の症状を強めてしまう関係性であるため、健康寿命を延ばすためにも早期解決が欠かせません。

また、睡眠時無呼吸症候群には痛風の悪化のほか、命にかかわる合併症のリスクがあるためすぐに改善すべき問題です。「痛風かもしれない」「寝ているときに呼吸が止まっていると言われた」という方は、まずいびきメディカルクリニックを予約し、検査を受けてみてはいかがでしょうか。

FAQ

よくある質問

尿酸値が一時的に高くなる原因は何?

寝不足で痛風になるって本当?

寝不足の人は自然と呼吸が浅くなるため、血中の尿酸値が上昇し、間接的に痛風を発症しやすいと言われています。また寝不足の原因がいびき・睡眠時無呼吸症候群の場合には、痛風リスクが高くなりやすいので注意が必要です。

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