なぜ寝言が出る?寝言の原因は睡眠時無呼吸症候群(SAS)など睡眠障害の可能性

睡眠時無呼吸症候群の原因
2025.06.02
このコラムの監修医師
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック いびき専門医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。
田沼 欣樹
医療法人社団 紡潤会 指導医、いびきメディカルクリニック いびき専門医。防衛医科大学校卒。いびきや睡眠時無呼吸の治療を通じて、長期的な健康維持を支援している。

「寝言の原因は睡眠障害っていうのは本当?」
「睡眠障害の症状って?」
「放っておいても大丈夫?」

とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

寝言の原因は睡眠障害の場合があります。睡眠障害はさまざまな病気のリスクになる、事故のリスクが増えるなどの可能性があるので、寝言が連日続くような場合は医療機関を受診しましょう。

この記事では、寝言の原因になる睡眠障害、寝言の原因になる他の病気、睡眠障害の危険性について、解説します。この記事を読むと、寝言の原因になる睡眠障害、寝言の原因になる他の病気、睡眠障害の危険性について理解でき、連日寝言が続く場合にどうすれば良いかが分かります。

寝言とは?

眠る女性

寝言とは、睡眠中の発語や発声のことで、日常的によくみられる症状です。寝言は本人が気づくことは少なく、たいていの場合は家族に気づかれることが多いものです。

寝言の原因

寝言の原因にはさまざまなことがありますが、主なものは以下のとおりです。
 

  • ストレス
  • アルコールやカフェイン
  • 遺伝
  • 病気

睡眠中に夢を見て、その夢に関連した寝言を発する場合があります。「仕事が忙しい」「もうすぐ試験だ」という寝言は心身のストレスの影響の場合が多いようです。過去に極度のストレスがあり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を起こした場合は、そのことが寝言にあらわれている可能性があります。PTSDでは、夢の内容がPTSD を起こした出来事の再現となる場合が多く、大きな苦痛になります。

また、アルコールやカフェインを摂取して、浅い眠りになっている時も、寝言を発しやすい状態です。アルコールは摂取後2~3時間で代謝され、覚醒作用を持つ「アセトアルデヒド」に変化します。また、アルコールには利尿作用もあります。目を覚ましやすく、排尿して体内から水分が奪われることも眠りの質を低下させる要因です。

遺伝的要因も報告されています。大人の場合、精神疾患との合併が多いようです。さらに、寝言は、睡眠時随伴症の一つでもあります。睡眠時随伴症には、寝言の他に、おねしょや睡眠時遊行症、歯ぎしりなどがあげられます。

寝言の原因は睡眠障害?

口を開けて眠る男性

寝言は睡眠時に起こるため、原因が睡眠障害の場合があります。ここで紹介する睡眠障害は以下の4つです。
 

  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
  • レム睡眠行動障害
  • 悪夢障害
  • 不眠症

以下で、1つずつ詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。呼吸の停止と覚醒が一晩中繰り返し起こるので、深い睡眠は取れません。日中に眠気が出るようになり、また酸素濃度が下がるので高血圧や動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。さらに睡眠不足によるストレスで、血糖値やコレステロール値が上昇し、生活習慣病やメタボリック・シンドロームが起きるようになります。

睡眠時無呼吸症候群では、呼吸器症状としての発声が起こる場合があり、それを寝言と感じるようです。

睡眠時無呼吸症候群について詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。

レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害とは、レム睡眠中に

「悲鳴を上げて飛び起きる」
「大声で叫ぶ」
「隣に寝ている人を殴る・蹴る・首を絞める」

などの症状を起こす疾患です。睡眠は、レム睡眠という「体は深く眠っているが脳は軽く覚醒している」状態とノンレム睡眠という「体も脳も眠っている」状態を周期的に繰り返しています。
夢を見るのはレム睡眠状態の時に多いといわれています。誰かと争う、追いかけられるなどの悪夢をみているときに現れることが多いのが、レム睡眠行動障害です。そのため、夢の中での言動が現実にも現れてしまうようです。

レム睡眠中は通常、筋肉は緊張していないので、夢の中で体を動かしても、現実に体は動きません。しかしレム睡眠行動障害の人では、筋肉を弛緩させる機能が妨げられているので、夢の中での言動がそのまま寝言や行動なって現れていると考えられています。寝言をいうのは、このためです。女性よりは男性に多く、加齢で増加しますが、最初は言葉を発するくらいです。少しずつ進行し、次第に激しく、暴力的な行動になることがあります。

レム睡眠について詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

<睡眠の質と脳の神経障害の関係は?代表的なレム睡眠行動障害を知って正しく対策>

悪夢障害

悪夢障害は、年齢や性別に関係なく起こる疾患です。主な原因はストレスで、

「悪夢を見るのがこわくて眠れない」
「悪夢のせいで毎日が憂うつ」
「昼間の行動が悪夢に影響されて、おろそかになってしまう」

などの特徴があります。
悪夢の内容を起床後も覚えているのが特徴です。

悪夢障害は、レム睡眠中に生じる睡眠時随伴症の一つで、見ている夢に反応して、寝言を言っています。

不眠症

質の良い睡眠が取れていないと、寝言を言う場合があります。質の良い睡眠が取れていない不眠症は、寝言の原因の一つです。
不眠症とは、「眠りたい」という意思があるのに、「寝つきが悪い」「睡眠中に何度も目がさめる」「眠りが浅い」という症状が慢性化している状態です。

不眠症は主に以下の4つに分類されます。
 

  • 入眠障害:寝付きが悪い
  • 中途覚醒:眠りが浅く、途中で何度も目覚める
  • 早朝覚醒:早朝に目が覚めて、それ以降眠れない
  • 熟眠障害:ある程度の時間寝ているが、ぐっすり寝たという感じがしない

不眠症の原因は、かゆみ・痛み・発熱など身体的なもの、不規則な生活によるもの、ストレスや精神疾患によるもの、クスリの副作用などさまざまですが、原因に応じて対処することが必要です。

寝言の原因になる他の病気

頭を押さえて寝る女性

寝言の原因が、睡眠障害以外の病気の場合があります。ここで紹介する寝言の原因になる他の病気は、以下の3つです。

 

  • てんかんの強直間代発作
  • うつ病
  • レビー小体型認知症

てんかんの強直間代発作

脳神経細胞の異常な電気活動で発作を繰り返す起こす疾患が「てんかん」です。てんかん発作では、突発的に運動神経や感覚神経、自律神などの神経系が異常に活動して、症状を起こします。様々な種類があるのがてんかん発作です。たいていの場合、数秒~数分間で終わりますが、長いと数時間以上続く場合もあります。

てんかん発作の一つである、全般性強直間代発作では、たいていの場合、まず意識がなくなり、全身が硬くなり(強直相)、その後全身をガクガクとさせます(間代相)。症状が軽い人では、片方の腕や顔の一部分だけが数秒間、固くなるだけの場合もありますが、倒れたりけいれんしたりもしないので、他の人からは気づかれないかもしれません。

強直間代発作では、発作の開始時や終了時に叫び声やうなり声が出てしまう場合があるので、それを寝言と感じてしまう可能性があります。

参考:
てんかん対策|厚生労働省

うつ病

睡眠不足は寝言の原因になります。睡眠不足の原因の一つにあげられるのは、うつ病です。失恋や試験での失敗など、毎日の生活の中でがっかりするようなできごとは、誰にでも起こります。そんなときはつらくて悲しい気持ちにもなりますが、普通は数日のうちに、少しずつ前向きな気持ちになるものです。ところが何週間もそんな気持ちにはならない、しかも一日中ずっとしょげているような状態が続いているとしたら、それは「うつ病」かもしれません。

うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」や「ノルアドレナリン」が減ってしまうために起こる病気だと考えられています。つまり、うつ病は決して怠けてそのような状態になっているわけでも、考え方が間違っているわけでもありません。うつ病は、生涯に約15人に1人が経験するという、珍しくない病気なので、早めに適切な治療を受ける必要があります。

うつ病では、質の良い睡眠が取れない不眠症状があらわれる場合があり、寝言の原因になる可能性があります。

参考:
うつ病|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~(厚生労働省)

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、初めの頃、物忘れや判断力の低下という認知機能障害は少ない疾患です。しかし「知らない人が家にいる」とか「壁に水が流れている」という実際にはないものが見える幻視、パーキンソン症状、「睡眠中に大声をあげる」「手足を激しく動かす」「急に起き上がる」という睡眠時の異常行動などの特徴的な症状がみられます。パーキンソン病と認知症を合わせたような症状です。

睡眠障害の一つ「レム睡眠行動障害」は、レビー小体型認知症の初期によく見られる症状です。
レビー小体型認知症でも、夢の中での言動がそのまま寝言になって現れていると考えられています。

参考:
レビー小体型認知症|若年性認知症支援ガイドブック

寝言が連日続くような場合は医療機関を受診する

医者のイメージ

ほとんどの寝言は病的なものではなく、一晩の睡眠中に短時間の発語が1~数回出現するくらいで、数日間で消失します。
しかし、寝言が連日続いたり、数か月~数年持続したりする寝言の場合には、上記のような病気が原因かもしれません。
気になる場合は、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。

睡眠障害の危険性

自動車事故のようす

睡眠障害があると質の良い睡眠が取れないので、睡眠不足になり、心身に悪い影響が出る危険性があります。

ここでは、以下の4つの睡眠障害の危険性を紹介します。
 

  • さまざまな病気のリスクになる
  • 事故のリスクが増える
  • パフォーマンスが低下する
  • 免疫力が低下する

睡眠障害の危険性を理解すると、睡眠の大切さが理解できます。

さまざまな病気のリスクになる

睡眠障害は、さまざまな生活習慣病の発症に関係することがわかっています。以前から生活習慣病を持つ人に睡眠時無呼吸症候群や不眠症が多いことが知られていました。その後の研究で、睡眠障害が生活習慣病の罹患リスクを高めたり症状を悪化させたりすることや、発症機序が明らかになってきています。

睡眠時無呼吸症候群の人では、夜間の度重なる呼吸停止のために、以下のような状態が起こっています。
 

  • 低酸素血症と交感神経の緊張(血管収縮)
  • 酸化ストレスや炎症
  • 代謝異常(レフチン抵抗性・インスリン抵抗性)

これは、生活習慣病の準備状態のようなものです。この結果、5~10年後には、高血圧や心不全、虚血性心疾患、脳血管障害などに罹りやすくなっています。

慢性不眠症の人も以下のような状態を起こしています。
 

  • 交感神経の緊張
  • 糖質コルチコイド(血糖を上昇させる)の過剰分泌
  • 睡眠時間の短縮
  • うつ状態による活動性の低下

これらは、生活習慣病リスクです。入眠困難や中途覚醒・早朝覚醒などのような「不眠症」症状のある人では質の良い睡眠を取れている人と比べて糖尿病リスクが1.5~2倍になることがわかっています。

参考:
睡眠と生活習慣病との深い関係|厚生労働省

事故のリスクが増える

睡眠障害があると、日中の強い眠気・作業能率や注意力の低下、抑うつなどが出現して、結果的に人為的ミスの危険性を大きくします。

日本で話題になったのは、過酷な勤務条件の長距離運転手の居眠り運転や、睡眠時無呼吸症候群に罹患している新幹線運転士の居眠りによる緊急停止事故などです。このような睡眠問題で起こる経済・社会資本の損失は米国でも日本でも年間数兆円超と試算されています。

参考:
健やかな眠りの意義|厚生労働省

パフォーマンスが低下する

睡眠障害で睡眠不足だと、仕事や勉強で、以下のようなことが起こる可能性があります。
 

  • ケアレスミスが増える
  • 集中力が低下して時間が長くかかる
  • 不健康になり、遅刻や欠席・欠勤が増える

仕事や勉強の効率が悪くなってしまうのです。ある企業に勤務する約3,000人を対象とした調査では、睡眠不足で仕事効率が40%ダウンしていたという試算があります。

参考:
寝不足を続けるとどんなリスク(影響)があるの?|くすりと健康の情報局by第一三共ヘルスケア

免疫力が低下する

「睡眠不足がしばらく続いた時に風邪をひいた」とか「睡眠不足状態で風邪の症状が長引いたことがある」という経験を持つ人も多いのではないでしょうか。睡眠には身体のダメージを修復する働きがあるので、免疫力とも深い関係があります。

参考:
働く女性の心とからだの応援サイト|厚生労働省

睡眠時無呼吸症候群による寝言でお悩みの方は、いびきメディカルクリニックへご相談ください

この記事では、寝言の原因になる睡眠障害、寝言の原因になる他の病気、睡眠障害の危険性について、解説してきました。

寝言の原因は睡眠障害の場合があります。睡眠障害はさまざまな病気のリスクになる、事故のリスクが増えるなどの可能性があるので、寝言が連日続くような場合は医療機関を受診しましょう。

いびきメディカルクリニックでは、いびきや無呼吸症をオリジナルのパルスサーミアで治療しています。パルスサーミアとは、いびきの原因の喉粘膜の広がりをレーザーで引き締めて気道を確保し、いびきや無呼吸を解消する治療法です。いびき治療では対処療法が主流でしたが、パルスサーミアでは根本治療を目指せます。睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療について悩んでいる方は、どうぞご相談ください。無料でカウンセリングも実施しています。

<いびきメディカルクリニックの治療ページはこちらから>

FAQ

よくある質問

睡眠時に寝言を言う原因は何ですか?

寝言はなぜ発せられるのでしょうか?

寝言が発せられる原因としては、以下のようなことが考えられます。
 

  • 見ている夢に反応している
  • 日中の強いストレスや不安が表出している
  • 眠りが浅く、脳が活動している

湿度や温度を調整して室内環境を整える、運動でストレスを解消するなどして、質の良い睡眠が取れるようにすることが大切です。

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