睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善・治療方法【10選】
目次
日中強い眠気に襲われたり、家族やパートナーに「いびきがうるさい」と指摘されたりした経験はありませんか?このような場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に罹っている可能性があります。
自覚することが難しいのですが、場合によっては命を失う可能性もある恐ろしい病気なので、放置してはいけません。
そこでこの記事では、睡眠時無呼吸症候群を改善するメリットや改善方法をお伝えしていきます。症状に心当たりがある方は、ぜひチェックしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
まずは、睡眠時無呼吸症候群について解説します。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に何度も呼吸が止まってしまう病気です。
医学的には、10秒以上呼吸が止まることを無呼吸といいます。寝ている間に無呼吸や低呼吸が1時間あたり5回以上、もしくは7時間の睡眠中に30回以上繰り返される場合、睡眠時無呼吸症候群だと判断されます。無呼吸や低呼吸は睡眠中の出来事なので、基本的には自覚することができません。
参考
睡眠時無呼吸症候群 / SAS、e-ヘルスネット – 厚生労働省
睡眠時無呼吸症候群の症状
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の無呼吸や低呼吸によってさまざまな症状を引き起こします。日中と夜間の症状について、それぞれ解説します。当てはまるものがあった場合は、病院に相談して検査を受けましょう。
参考
主な症状、睡眠時無呼吸なおそう.com
睡眠時無呼吸症候群、田中循環器内科
日中の症状
日中の症状は、無呼吸や低呼吸によって身体が十分休まらなかったり、睡眠の質が低下したりすることで引き起こされます。
具体的には、以下のような症状が挙げられます。
・強い眠気に襲われる
・だるさや倦怠感、疲労感がある
・集中力が続かない
・朝起きると頭が痛い、熟睡感がない
・気分が晴れず憂鬱気味
夜間の症状
夜間の主な症状は睡眠中のいびきや無呼吸ですが、何度も起きたり寝汗をかいたりすることもあります。
具体的には、以下のような症状が挙げられます。
・大きないびきをかく
・いびきが止まったのち、大きな呼吸と共に再びいびきをかく
・呼吸が止まったり乱れたりする
・何度も目が覚める、トイレに起きる
・寝汗をかく
睡眠時無呼吸症候群の診断に必要な検査
睡眠時無呼吸症候群を検査するには、クリニックの受診が必要です。一般的には、まず「簡易検査」を行います。
簡易検査では、鼻や指にセンサーをつけた状態で眠ります。睡眠中のいびきや呼吸、酸素の血中濃度などを調べることで、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるかどうかを簡易的に検査します。専用の検査機器は自宅で利用できるため、普段の睡眠環境と変わらないリラックスした状態で行えます。
簡易検査の結果によっては、精密検査を行います。より詳細なデータをとることができるセンサーをつけ、脳波や心電図、呼吸などをチェックします。
医療機関に一泊して行うのが通常で、入院費用や準備がネックでしたが、最近では自宅でも行えるケースがあります。
参考
睡眠時無呼吸症候群の簡易検査と精密検査、睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群を改善するメリット
次に、睡眠時無呼吸症候群を改善するメリットを3点お伝えします。治療に踏み切れずに悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
日中の眠気や倦怠感が解消できる
睡眠時無呼吸症候群の症状として、日中の眠気や倦怠感があります。このような症状があると、仕事や学業などのパフォーマンスが下がってしまいます。
場合によっては、周囲からの評価が悪くなったり成績が下がったりするでしょう。それだけでなく、交通事故や労働災害を引き起こし、取り返しのつかない事態になる可能性も。
睡眠時無呼吸症候群を改善すれば、日中の強い眠気や倦怠感、疲労感も解消されます。昼間の活動に集中できるようになるでしょう。また、自分や周囲の命を守ることにもつながります。
合併症の予防や改善につながる
睡眠時無呼吸症候群を早期に治療することで、さまざまな合併症の予防や改善につながるというメリットがあります。中には命に関わる病気もあるので、症状に心当たりがある場合はすぐクリニックに相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の合併症としては、高血圧と糖尿病が挙げられます。また、心筋梗塞や心不全などの心血管疾患、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患を引き起こす可能性も。
発症すると突然死する可能性もあるため、早期改善に努めることが重要です。
いびき改善で周囲に迷惑をかけなくなる
睡眠時無呼吸症候群の治療に取り組めば、大きないびきも改善できます。結果、周囲へ迷惑をかけることがなくなるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群で困るのは、本人だけではありません。一緒に寝る家族やパートナーがいる場合、大きないびきでその人の安眠まで妨害してしまいます。
しかし、いびきをかいている自覚がないため治す気にならなかったり、恥ずかしくて誰にも相談できなかったりすることも。結果、関係が悪くなってしまう可能性があります。このような事態を避けるため、睡眠時無呼吸症候群の改善に取り組み、大きないびきを解消しましょう。
【自力でできる?】睡眠時無呼吸症候群の治し方と対策
睡眠時無呼吸症候群を改善する方法の中には、自力でも取り組めるものもあるため、いくつかご紹介します。
ただし、検査や診断を受けずに自己判断のみで悩みを解消しようとしても、なかなかうまくいきません。効果が実感できなかったり、睡眠時無呼吸症候群を確実に治療したかったりする場合は、迷わずクリニックにご相談ください。
参考
いろいろある睡眠時無呼吸症候群の治療法、小杉ファミリークリニック
睡眠時無呼吸症候群の治療~適切な治療を見つけるために~、大阪回生病院
肥満解消に向けて減量する
睡眠時無呼吸症候群の改善に効果的なのは、肥満解消です。喉周りの余分な脂肪を落とすことで、気道が確保しやすくなります。
肥満かどうか判断がつかない方は、一度BMIを調べてみましょう。BMIは肥満度を表す指標として国際的に使われている指標で、「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で計算できます。例として体重が50kg・身長が150cmの場合は、「50÷(1.5×1.5)」という計算になり、BMIは約22.2となります。
日本肥満学会の基準では、BMIが25以上の場合肥満に分類されます。当てはまる場合、減量をすれば睡眠時無呼吸症候群を改善できるかもしれません。
ただし、急に体重が減ると体に大きな負担をかけたり、ストレスを感じたりしてしまいます。リバウンドの可能性もあるので、運動と食事を少しずつ変化させることから始めましょう。
タバコやアルコールを控える
タバコは、気道の粘膜に炎症をおこします。また、飲酒はアルコールの作用によって筋肉が緩みやすくなります。
どちらも気道の閉塞を悪化させる要因になるため、喫煙や飲酒の習慣がある方は控えるようにしましょう。なかなか止められない場合は、寝る前のタバコやお酒だけでも我慢してみてください。
口呼吸から鼻呼吸に変える
睡眠中に口呼吸だと、喉の奥の筋肉が奥に落ち込みやすくなったり、口の中の水分が蒸発して乾燥したりするため、無呼吸や大きないびきを引き起こしてしまいます。普段から鼻呼吸を意識しましょう。
また、鼻呼吸を促す対策グッズとして、口に貼って口呼吸を防ぐ「口閉じテープ」や、鼻腔を広げる「鼻腔拡張テープ」が販売されています。ドラッグストアや通販で購入できるため、気軽に試すことができます。
寝るときの姿勢を変える
寝ているときの姿勢が仰向けだと、重力に従って舌が落ち込みやすいため、気道を塞ぎやすいです。そのため、睡眠時の姿勢を横向きやうつ伏せに変えるだけで、睡眠時無呼吸症候群の症状が軽減できることがあります。
眠っているときは無意識に寝返りをうってしまうので、横向き寝やうつ伏せ寝をサポートする枕を利用するのがおすすめです。また、「テニスボール法」といって、背中にテニスボールを挟み込むことで寝返りを防止し、横向きをキープする方法もあります。
ただし、睡眠時無呼吸症候群の程度によっては、姿勢を変えても睡眠中の無呼吸が減らない場合も。
また、寝返りには身体の同じ部位に負担をかけないようにしたり、布団の温度・湿度を調節したりといった役割があります。寝返りを全くしないというのもリスクがあるという点を考慮しておきましょう。
舌のトレーニングを行う
舌のトレーニングを行うことで筋力が鍛えられたり、口呼吸をしなくなったりといった効果が期待できます。結果、舌が喉の奥に落ち込みにくくなるので、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善につながります。
具体的な舌のトレーニング方法については、以下のコラムでご紹介しています。ぜひ取り組んでみてください。
【専門家と共に改善】睡眠時無呼吸症候群の治療法
次に、クリニックでのみ行える治療法についてお伝えします。専門的な知識や技術のある医師と共に改善を目指すので、高い効果が期待できます。
参考
治療方法について、無呼吸ラボ
睡眠時無呼吸症候群の治療~適切な治療を見つけるために~、大阪回生病院
CPAP治療
睡眠時無呼吸症候群の治療として最も一般的なのは、CPAP治療です。睡眠中に専用のマスクをつけ、本体機器から鼻に空気を送り込むことによって、気道を確保するという仕組みです。
CPAPを導入したその日から効果が期待できるうえ、副作用もほとんどありません。また、保険も適用されます。
一方、CPAP治療は根本的な治療ではなく対処療法なので、機器を装着しなくなれば睡眠時無呼吸症候群の症状が現れるようになります。また、肌や腹部に違和感が生じることもあったり、毎日のメンテナンスが必要だったりといった面も。
CPAP治療の効果や注意点については、以下のコラムでご紹介しています。併せてお読みください。
マウスピース療法
睡眠時無呼吸症候群の治療に用いるマウスピースは「スリープスプリント」とも呼ばれ、装着すると下顎が上顎よりも前方に移動した状態に固定されます。舌が喉の奥に落ちづらくなるため、睡眠時無呼吸症候群の症状が改善されます。
マウスピース療法は、軽度から中程度の睡眠時無呼吸症候群の場合や、CPAP治療が適していない場合に用いられることが一般的です。そのため重度の場合には、効果が感じられないことも。
マウスピースにかかる費用や注意点は以下のコラムで解説していますので、併せてお読みください。
ナステントの使用
「ナステント」とは、柔軟性が高いシリコーン樹脂を使用したチューブ状の医療機器です。鼻にチューブを挿入することで、気道を確保できます。
チューブの素材は柔らかいですが、挿入する場所が鼻なので痛みや違和感が生まれることがあります。また、鼻や喉に疾患のある人は使えない場合があります。
外科的手術
ケースによっては、外科的手術を行います。原因となる部位を切除したり、顎骨を切り前方に移動させたりすることで、気道を確保します。
ただし手術の効果が期待できるかどうかは人によるため、手術適応には慎重な判断が必要です。
参考
睡眠時無呼吸症候群の手術療法、奏の杜 耳鼻咽喉科クリニック
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術
⼝蓋垂軟⼝蓋咽頭形成術(UPPP)は、いびき・無呼吸に対する最も一般的な手術です。扁桃腺や口蓋垂を一部切除し、気道を確保します。
ただし、扁桃肥大がない人に対する手術効果は乏しいうえ、全身麻酔が必要となります。
上下顎前⽅移動術
上下顎前⽅移動術は、上顎と下顎の骨を切り前方に移動させることで、気道を広げる手術です。睡眠時無呼吸症候群の症状が改善する効果が期待できますが、見た目に影響が出ることもあります。
参考
睡眠時無呼吸症候群に対する外科的治療、淀川キリスト教病院
レーザー治療
睡眠時無呼吸症候群の根本的な治療として、レーザー治療という選択肢があります。レーザー治療にも種類があり、患部を切除するタイプのものがあれば、当院の「パルスサーミア」のように患部を引き締めるだけで切らないタイプのものもあります。
一般的に外科的手術よりも痛みが少なく、治療時間も短くて済むというメリットがあります。レーザーの種類によって特徴が変わるので、クリニックに相談する際は事前にどのような治療を行うのか確認するようにしましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療を受ける意義とは?治療に期待されること
日本に約500万人近くいる睡眠時無呼吸症候群は、自力で改善するのが難しい睡眠の病気です。また、睡眠という無意識状態の中で呼吸が止まるため、なるべく早急に問題を解決するのが望ましいといわれています。
よって、現在睡眠時無呼吸症候群を指摘された方、悩んでいる方がいるのなら、医療機関を利用して治療を実施するのがおすすめです。睡眠時無呼吸症候群の治療に期待されていることを詳しく解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療を受けているのは発症者の10分の1程度
現在、日本には約500万人もの睡眠時無呼吸症候群の発症者がいると推測されています。しかし、医療機関で治療を受けているのは、そのうちの50万人程度です。つまり、9割近い人たちが睡眠時無呼吸症候群に気づいていない、もしくは治療を放置しています。
ただし睡眠時無呼吸症候群は、放置していると生死に関わる重大問題に発展する恐れがあるのも事実です。睡眠時無呼吸症候群に悩む期間が長いほど死亡リスクが高まってしまうため、医療機関を利用して睡眠時無呼吸症候群治療を受けることをおすすめします。
参考
睡眠時無呼吸症候群の治療でも活躍する新テクノロジー
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は死亡に繋がることもある。生存率は?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療に期待されること
睡眠時無呼吸症候群の治療には、問題の早期解決、発症者の悩みや不安の解決を期待できます。睡眠時無呼吸症候群に悩む人の中には、自力で問題を解決しようと動き出す人もいますが「継続できない」「効果を感じられない」と、途中でやめてしまう人がほとんどです。
一方、医療機関を利用して睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療をスタートすれば、人の力を借りながら継続して問題解決に取り組めます。また前述したように、睡眠時無呼吸症候群には複数の治療方法が用意されているのが魅力です。医療機関を利用すれば、あなたに最適な治療法が見つかるまで徹底的にサポートしてもらえるので、まずは気になること、不安なことを医療機関に相談してみてください。
参考
CPAPをやめるにはどうすればよいか?
睡眠時無呼吸症候群のセルフケア
自分の状態と治療の意義を理解することが大切
自分が睡眠時無呼吸症候群なのか分からない、そして治療を受けるべきか分からないと悩んでいるのなら、ぜひ次のことを考えてみてください。
・日常生活に支障が出ていないか
・自力の対策で改善しているか
睡眠時無呼吸症候群の症状が軽微であったり、改善を実感していたりするのなら問題ありません。しかし、支障が出ている、改善しない状況なら、すぐに医療機関に相談することをおすすめします。
まずは、自分の状態がどれくらい悪いのか言語化できるレベルまで分析しましょう。医療機関では、あなたの悩みや症状の度合い、そして検査を用いて最適な治療法を提案してくれます。
睡眠時無呼吸症候群治療は、問題の早期解決という大きな意義がある解決手段です。以下の記事で症状のセルフチェックも行えるため、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック14項目!リスクと治療法も紹介
参考
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック14項目!リスクと治療法も紹介
職域における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見・早期治療の意義
睡眠時無呼吸症候群(sas)を改善するならいびきメディカルクリニックへ
睡眠時無呼吸症候群を改善するには、自分の状態や発症の原因に合った適切な方法を選ぶ必要があります。そのため、自力での改善を目指すよりも、専門的な知識のある医師に相談するのが確実です。
いびき・睡眠時無呼吸症候群にお悩みの方は、ぜひいびきメディカルクリニックにご相談ください。
当院では、オリジナルの最新レーザー治療「パルスサーミア」で改善を目指すのが特徴です。レーザーを口蓋垂に当てることで引き締めるという方法で、3〜6回程度の照射からいびきの抑制を実感できます。
メリットとしては、痛みやダウンタイムがほぼないこと。従来の方法とは異なり、切開や縫合が必要ないからです。また、治療自体も約15分と短いため、仕事や学校の帰りにも通いやすいです。
まずは無料でカウンセリングを行いますので、電話・LINE・Webからお気軽にご予約してください。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群を改善すれば、日中の眠気や倦怠感が解消できます。また、命に関わる合併症を予防したり、いびき改善で周囲に迷惑をかけなくなったりといったメリットがあります。症状に心当たりがある方は、早期改善を目指しましょう。
ただし、自己判断で睡眠時無呼吸症候群を改善しようと思っても効果が出ないこともあります。確実に治したい方や根本的な治療を行いたい方は、ぜひクリニックにご相談ください。
【よくある質問】
Q.睡眠時無呼吸症候群を改善するメリットは?
A. 睡眠時無呼吸症候群を改善するメリットとしては、以下の3点です。
・日中の眠気や倦怠感が解消できる
・合併症の予防や改善につながる
・いびき改善で周囲に迷惑をかけなくなる
Q.睡眠時無呼吸症候群を自力で改善するにはどのような方法がありますか?
A. 睡眠時無呼吸症候群を自力で改善するには、以下のような方法が挙げられます。ただし、自己判断で取り組んでもうまくいくとは限らないため、確実に治したい場合はクリニックにご相談ください。
・肥満解消に向けて減量する
・タバコやアルコーdルを控える
・口呼吸から鼻呼吸に変える
・寝るときの姿勢を変える
・舌のトレーリングを行う