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【関係性は?】緑内障といびきの関係性について

2023.04.05

【関係性は?】緑内障といびきの関係性について

「いびき」とは、生理現象の一つでもあるため、危険性はあまり認知されていません。しかし、いびきは本来呼吸障害であり、病気に分類されます。
いびきが引き起こす症状は脳卒中や心筋梗塞が代表的ですが、「緑内障」を発症しやすいといった研究結果も発表されました。いびきの種類によっては、身体に危険を及ぼさない場合もありますが、たいていの場合は危険であることが多いです。

睡眠中にいびきが発生する仕組みと、緑内障について適切に理解することで、いびきと緑内障の関係を詳しく説明していきます。そのほかにも、睡眠時無呼吸症候群の危険性や、原因についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

いびきと緑内障の関係について

診療を受ける男性


緑内障を発症した方の多くが睡眠時無呼吸症候群を患っている、と考えられたのは1982年ごろからであり、多くの研究がいびきと緑内障の関係の有無を変えてきました。

2003年頃には、睡眠時無呼吸症候群の患者に対して緑内障を発症している患者はわずか2%しかいないと報告されましたが、その後、アジア人では確率が高く、白人であればさらに確率が高いことが判明しました。
睡眠時無呼吸症候群の方が必ずしも緑内障を発症するというわけではありませんが、発症の確率が高いことは事実と考えられるでしょう。

また、慢性的ないびきが見られる方にも緑内障が多いのではないかと心配されることがありますが、いびきと緑内障の関連性はまだ認められていません。慢性的ないびきがひどくなることによって発症する睡眠時無呼吸症候群の可能性がある場合、緑内障の有病率も大きく上がります。

研究結果による関係性の有無

多くの方の認識を決定付けたのは、四川大学西中国病院の研究結果です。
発表された論文には、睡眠の質と緑内障の関係性が数値で詳しく解析されており、睡眠の質の低下が緑内障の発症率を高くすると記されていました。

いびきや睡眠時無呼吸症候群は確率を高めるリスクの一つでしかなく、睡眠時間の短さや姿勢など、睡眠そのものの質の低下が緑内障の危険性を高めます。
四川大学の論文は「BMJ open」11月1日に掲載されています。

緑内障とは?

目もとを触るシニア女性


緑内障とは、視神経に異常が発生する病気のことです。
視神経には、目からの情報を脳に伝える役割があるため、異常が発生した場合、徐々に視力を失うことになります。

日本では失明の原因で最も多く、発症すると取り返しのつかない病のような認識がされていますが、実際のところ初期症状で発見することができれば、視力を保つことは可能です。確率的にも失明数は多いですが、「失明率」はあまり高くありません。

緑内障の多くは眼圧が高くなることによって発生します。眼圧とは目の内部の圧力のことで、圧力が高まることで視神経が耐えられなくなってしまいます。それにより視力は少しずつ失われるため、症状としては目のかすみ、ぼやけから、視界の一部が見えにくくなるなどと段階的に見えづらくなります。

しかし、眼圧が正常であるのにも関わらず発生する緑内障も存在します。「正常眼圧緑内障」と呼ばれる症状であり、いびきや睡眠障害の方に多く見られる症状です。

正常眼圧緑内障とは

正常眼圧緑内障とは、名前の通り、眼圧が正常であるにも関わらず発症する緑内障です。体質として視神経の弱さや、遺伝、血流障害が大きく関係するといわれていますが、睡眠時無呼吸症候群による血流障害などの身体の異常が原因で発症すると考えられています。

ただし、睡眠の質の低下やホルモンの乱れ、睡眠時の姿勢によっては睡眠中に眼圧を高くする可能性も考えられるため、必ずしも正常眼圧緑内障を発症するとは限りません。
割合としては、睡眠時無呼吸症候群の方が緑内障を発症した場合、正常眼圧緑内障の方が多いと考えられています。

同じではない白内障

緑内障と白内障は、名称が類似しているため混同されることが多いですが、全く異なる病気です。主な違いとしては、緑内障は失われた視力を取り戻しにくく、失明の恐れがありますが、白内障は手術で視力を取り戻すことが可能な点です。

また、緑内障は眼圧の上昇が原因となる視神経の異常により発症しますが、白内障の多くは加齢が原因です。どちらも危険な病気ではありますが、白内障は治療による視力の改善が考えられるため、それほど恐怖する病ではありません。

いびきの仕組み

いびきをかきながら寝る男性


いびきとは、睡眠中に何らかの原因によって気道が圧迫されることによって発生する音のことです。原因の多くは肥満による喉や頬の余分な脂肪によるものですが、飲酒や喫煙による筋肉の緩みも気道の圧迫に大きく関係します。

そのほかには、生まれつき顎が小さい方や口蓋垂(のどちんこ)が大きい方も気道の圧迫を発生させてしまいます。そういった場合、外科手術を用いて気道の圧迫部分を切除したり、マウスピースで顎の位置を矯正したりするなどの治療が必要です。

気道の圧迫は脳や体を低酸素状態へと陥らせてしまうため、酸素が足りず、うまく脳や体が機能しなくなります。すると、日中の集中力低下や眠気などを感じてしまうため、不注意の事故を引き起こすことになります。

散発性のいびきは害が少ない

いびきには散発性といった種類があります。散発性のいびきは疲労時や飲酒時に発生するいびきのことであり、生理現象の一つです。慢性的ではないため危険性は低く、多くの方が経験したことのある症状です。

散発性とはいえ、毎日の飲酒によって慢性的ないびきへと移行する可能性も高いため、私生活を整えることはいびきの予防に欠かせません。

いびきの原因の大半は肥満である

いびきの原因の多くは肥満です。体だけでなく、首や頬にまで余分な脂肪は付着するため、睡眠中に重力によって喉の気道を圧迫することになります。

いびきの悩みを持った方が、いびき治療を検討して受診することがありますが、たいていの場合「減量療法」を用いてダイエットを行うのが最も効果的である場合が多いです。
それでもいびきが治らない場合や、皮膚のたるみが残ってしまう場合、外科手術を用いて気道の圧迫となる余分な脂肪を切除することによって改善することができます。

いびき治療がもたらす緑内障への効果

CPAP療法をする男性


いびきと緑内障の関係性は完全に一致しているわけではないため、いびき治療が緑内障の改善に直結することも、緑内障の治療がいびきの改善につながることもありません。
ですが、代表的ないびき治療であるCPAP療法を行った睡眠時無呼吸症候群の患者に、視覚機能の改善が見られたといった研究結果は判明しています。

CPAP療法によって睡眠中の呼吸が改善され、うまく酸素が供給されたことによって血中の酸素濃度が高くなり、視神経の血流が改善されたものと考えられるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群の危険性

寝ているシニア男性


睡眠時無呼吸症候群は、自分自身で気がつきにくい症状でありながら、確実に体を内部から蝕む危険な症状です。家族や友人、パートナーの指摘があれば毎日のいびきに気がつくことができますが、一人暮らしの場合かなり難しいです。

ですが、睡眠時無呼吸症候群が影響する体の変化は注意深く意識すれば見分けることができます。十分な時間眠っていたのにも関わらず毎日眠気が残っていたり、日中の仕事が集中できなくなったり、明らかに1日のパフォーマンスは落ちていきます。

上記で解説したように、緑内障を発症する危険性もありますが、そのほかにも睡眠時無呼吸症候群が引き金となる病気や事故は多く存在します。

緑内障以外に考えられる症状

緑内障は睡眠時無呼吸症候群が原因と考えられる病気の一例ですが、その他にも危険視される病気は多く存在します。代表的なのが、脳梗塞と心筋梗塞です。
脳や体が低酸素状態に陥ることで、突発的に発生することが多く、脳梗塞や心筋梗塞を発症した方を検査した結果、高い確率で睡眠時無呼吸症候群を発症していました。

さらに、睡眠時無呼吸症候群を発症した方の死亡原因で最も多いのは、日中の不慮の事故です。睡眠不足による疲労が体に蓄積され、日中の判断力低下を招き、事故を起こします。

疲労や眠気が取れにくいのは、年齢や疲れのせいだけではありません。起床時の頭痛や喉の渇きは睡眠中のひどいいびきの影響が大きいと考えられるため、些細な体の異変を気にかけましょう。

まとめ

寝ているシニア男性


緑内障といびきの関係性は、あると考えて良いでしょう。しかし、いびきをかいているからといって必ず緑内障を発症するわけではなく、慢性的ないびきや睡眠時無呼吸症候群は、緑内障を発症するリスクを高めてしまう症状であるいうことです。

治療に関しても、CPAP療法に関しては視覚機能の改善が見られたという研究結果があるだけで、いびき治療をすることによって緑内障を防げるといった意味ではありません。

今回解説した中で、緑内障以外にも睡眠時無呼吸症候群によって引き起こす確率を高めてしまう心筋梗塞や脳梗塞、日中の不慮の事故を挙げましたが、睡眠障害は多くの病気の引き金となる症状です。気がつきにくい症状のため軽視されることも多いですが、脳や体を蝕む極めて危険な病気です。

睡眠だけでなく、日中の異変にも注意し、少しでも違和感を覚えたらすぐに検査を受けるようにしましょう。

【よくある質問】

Q.いびきを治療すれば、緑内障も治るの?

A.いびき治療によって緑内障が完治することはありませんが、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法であるCPAP療法を行った方の視覚機能の改善が見られた研究結果はあります。ですが、いびき治療が緑内障を完治させるとは考えにくいでしょう。

Q.いびきをたまにかくけど大丈夫?

A.強い疲労を感じた日や、飲酒を行なった日に発生するいびきは、散発性のいびきと呼ばれるもので、生理現象の一つとして考えられています。適度ないびきは体に必要なため、疲れが溜まった日や飲み会で飲み過ぎてしまった日など、いびきをかいても問題がないことも多いです。

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